お母さんのことが大好きな少年がいた。
彼は、恥ずかしいほどにお母さんのことが好きだった。
でも、恥ずかしすぎて甘えることができなかった。
その分お母さんのために一生懸命に役に立とうと頑張った。
他の五人の兄弟の中で人一倍頑張った。
ある時、そんな大好きなお母さんが病気で倒れる。
重い病気で、ベットの中で過ごす毎日になった。
そんなお母さんを見舞い、
他の兄弟は、毎日、お母さんのそばに行き話をしたりしていた。
けれど、少年は時々しかお母さんを見舞わなかった。
それよりも、お母さんが心配しないようにと家の手伝いをし続けた。
何より、元気のないお母さんを見ることがつらかった。
何度も、お母さんの前で泣きそうになる自分を抑えた。
そんな日々が続いていたが、
お母さんはある日亡くなってしまう。
少年は悲しくて悲しくて、誰もいない部屋で一人になると泣いていた。
そして、もっとお母さんのそばにいてあげればよかったと後悔した。
もっと、お母さんに甘えたかった。
そして、大切な人を失う寂しさに耐えられなかった。
もう、二度とこんな思いをしたくないと、人を好きになることをやめた。
大好きなものをそばに置くことをやめた。
いつか自分の傍から、その大好きなものが無くなるくらいなら
あんな悲しい思いをするくらいならと
好きになる気持ちを抑え込んだ。