志を持ち、何かを始めようとする人がいた。
そして、何からしたらいいと考える。
そして、出来ることから始めた。
そして、次から次へとやっていく。
ある時、次に何をしたらいいのかわからなくなる。
そして、出来ないと思うようになる。
そして、次から次へと問題が現れる。
その問題が、壁となって自分の前に姿を現す。
誰に聞くこともできず。
何をどうすればいいのかもわからず。
何が問題かすらわからなくなる。
そうして、その人は、最初の志しているものを見失っていった。
そうして、その人は四方を壁に囲まれ
その壁の中から出られなくなる。
その中で、立ち尽くし、時がたつ。
何度かその壁に立ち向かうが、
どうしても、その壁の中から出られない。
そんなことを繰り返し、ついにその場所に横になり目をつぶった。
そうして、幾日か経ったときに
目を開け、空をぼーっと見ていた。
雲が流れていく。鳥が横切っていく。
そんな、風景を見ていて・・・あっと思う。
この壁は、自分が作ったものだった。
何もかもを自分で抱え、何もかもを自分でしようとし、
それをいくつもの問題だと思うことで
それを壁にして作っていた。
そして、それをいつしか自分を守るための壁にしていたと思う。
それに気がつくと
自分で作ったものだったら、自分でなんとか出来るんではと思う。
そして、立ち上がり、その壁に両手を押し付け、力いっぱい押す。
すーっと壁が向こうに動く。
残りの三方の壁も動かしてみる。
同じように、難なく動く。
そして、その人は壁の向こうへ出る。
何もない、こんなに広い場所の一角にいたんだと思う。