左目に傷を持つ少女がいた。
女性は、嫁ぎ、跡継ぎを生むことが当たり前で
それが、女性として人として一人前のように言われる時代
その少女は、左目にある大きな傷を
女性として大きな欠陥だと思っていた。
忌み嫌われるものだと思っていました。
両親も同じように彼女の将来を心配していた。
そんなとき、城主の世継ぎを生むために
城に上がる話が、彼女の両親のもとにくる
この先、嫁ぎ先があるかどうかわからない少女のことを思い
両親は、名誉なことでもあるし、少女の幸せを願う気持ちもあり
二つ返事でその話を受けたのです。
少女は、この話を聞き、ひどく悲しみました。
子供を生める体であることを恨みました。
いっそ、傷と同じに欠陥だったらよかったのに
そうしたら、女性として生きることもあきらめられるのに・・・と
今までこの傷で、自分が女性として愛されることを
どれだけあきらめ、失望してきたことか
なのにいまさら・・・なんで・・・
そんな想いでいっぱいになっていました。
そして、彼女には、思いを寄せる人がいました。
その男性は、彼女の傷を見ても気にとめることもなく
普通の女の子として、普通に接してくれたのです。
今まで、驚く顔や、変に気を使ってくれたり
同情や励ましの言葉を掛けてくれる人はいたけど
この傷を、この傷を持つ自分を
こんなに自然に受け入れてくれた人はいなかった。
自分自身でさえ嫌だと思っていたのに・・・
少女は、女性としてだけでなく、一人の人として
こんなにも愛し、認めてもらえたと感じたことがなかったのです。
それが、とても幸せだった。
だから、よけいに彼女はとてもとても悲しかったのです。
涙でできた、大きな海に飲み込まれているように感じていました