OBSCUR/SVRECA
首吊り縄のようなロープが描かれたザ・ハクサン・クロークの「EXCAVATION」。逆さ吊り男が怪しげな雰囲気を放つスヴレカの「OBSCUR」。漆黒のジャケットが不吉なイメージを喚起させる2枚のアルバムは、それぞれポストインダストリアルの〈静〉と〈動〉の側面を象徴する傑作といえるだろう。
まず、ロンドンを拠点とするザ・ハクサン・クロークの「EXCAVATION」。こちらは、遊園地のホラー3Dサウンドアトラクションを思わせる作品だ。サウンドを聴くというよりは、ひとつの空間を体験しているような不思議な魅力にあふれている。壁を叩くように突如暴力的なサウンドが表れたり、ドローンが周囲の空気をふるわせたり、音によって空間の輪郭を浮かび上がらせるような試みが成されているのが特徴だ。穴掘りや洞穴を意味する「EXCAVATION」のタイトルもまた、そうしたイメージを表しているのかも知れない。「EXCAVATION」を聴くという行為は、音を聴くことを通じて、空間を体感する行為であるといえるだろう。
一方、スヴレカの「OBSCUR」はオリジナルアルバムでなく、既発曲とリミックスを寄せ集めた日本編集盤なのだが、ノンビートのアンビエントトラックである表題曲「OBSCUR」を除けば、グルーヴ感のあるインダストリアルテクノで構成されており、この手のサウンドとしては、かなりアゲアゲの内容となっている。ザ・ハクサン・クロークの「EXCAVATION」とは対照的に、サウンドのマテリアルを楽しむ作品といってもいいだろう。
スヴレカは、〈Semantica Records〉を率いるスペイン・マドリード出身のエンリケ・メナによるソロプロジェクト。本作を聴く限りはエクスペリメンタルな側面とポピュラーな側面の双方がバランス良く共存するエイフェックス・ツインなどに近い資質を持った人物のようである。DISC 2は、REGISやMARCEL DETTMANN、CLARO INTELECT、GRISCHA LICHTENBERGER、SILENT SERVANT等、ミニマルダブやグリッチを代表する面子によるリミックスワーク集となっており、中でもディープなセンスが際立つMARCEL DETTMANNのリミックスやグリッチノイズが炸裂するGRISCHA LICHTENBERGERのリミックスは必聴だ。
「EXCAVATION」も、「OBSCUR」も、音響系にありがちな退屈さとは無縁であり、40分そこそこという長さも集中して聴くにはちょうどいい。しかし、インダストリアルやノイズ、ハードコアといえばモノクロ、屍体写真(SPK、RAMLEH、NOCTURAL EMISSIONS、PAINKILLER/JOHN ZONE)、鞭(WHIGHT HOUSE、NAKED CITY/JOHN ZONE)といったステレオタイプなアートワークはなんとかならないものだろうか?






