
2014年にリリースされたEP「HTH020」からの4曲に、The Haxan Cloak、Vatican Shadow、Fis、Regisによるリミックス・トラックを追加したAkkordの編集盤アルバムがリリースされたが、これがなかなかの好盤だ。
まず、1曲目の「GRAVURE」を聴いてぶっ飛んだ。サウンドの“間”が強調され、時折、暗闇に楔を打ち込むように金属系のビートが響く。まるで、BPMを落としたフォーテックのドラムンベースのようだ。ファーストアルバムも1曲目はスローな楽曲だったが、闇の濃度が凄みを増しており、RaimeやAndy Stott、The Haxan Cloakといったポストインダストリアルのアーティストたちと比較しても遜色のないトラックとなっている。ダビーな4曲目の「GREYSCALE」も同様に、闇の中に沈み込んでいくように重く、深い。
本作に収められたオリジナルの4曲だけでは早計に判断することはできない。しかし、プログラミングにより細部に至るまで精緻に構築されたハイレゾリューショナルなサウンドが特徴的だったファーストアルバムに対して、ダーティな重低音や太めのビートが目立っている気がする。そして、ポストインダストリアルへの傾倒は本作における大きな特長だ。2曲目の「CONTINUUM」からは、たとえばANDY STOTTのユニットであるMILLIE&ANDREAのインダストリアル・ドラムンベース等からの影響が感じられる。
そして、The Haxan Cloakがリミックスを手がける「HTH020」。The Haxan Cloakらしさが際立つ入魂のダーク・アンビエントだ。ここでは、ビョークのアルバムでは抑え気味だったいびつで抑圧された閉鎖空間の如きサウンドスケープが全面的に開花している。Vatican Shadowのミックス「TYPEFACE/GREYSCALE」は、ネオゴシック的な展開を見せると思いきや意外にも4つ打ちのハウスサウンドであり、そのオーソドックスなアプローチにより、本アルバムの中では逆に異彩を放つ1曲となった。Fisが手がける「GRAVURE/CONTINUUM」やREGISによる「GRAVURE/CONTINUUM」もまた、ドローンやノイズが渦巻くダークな展開で、Akkordがめざしている方向性を示唆しているといえるだろう。
本作においてポストインダストリアルに挑戦し、著しい成果を顕揚してみせたAkkord。それでも、彼らの本質はポストインダストリアル勢とは一線を画す、ポリリズムの妙にあると敢えていいたい。Akkordの出身はマンチェスターであり、マンチェスターといえばニュー・オーダーやハッピー・マンデーズに代表されるように、かつてのインディーダンスの聖地である。そのDNAを継承しているのだろうか?どれだけダーク・アンビエントに接近しても、滲み出てしまうリズムのキレの良さにこそAkkordの魅力が宿っている。




