EIKO(上白石萌歌)~パリピ孔明という名の青春グラフィティ | Future Cafe

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「DREAMER」EIKO

 

 

 

 現代の渋谷にタイムスリップした中国の軍師・諸葛孔明が、歌手を夢見る月見映子をサポートすべく、知略と策謀をめぐらし、数々の作戦を遂行していく。

 このツッコミどころ満載の荒唐無稽なコミックの実写化がドラマ『パリピ孔明』だ。諸葛孔明役の向井理が想像以上にはまり役で、アホアホな展開に一定のリアリティを与えることに成功していた。Perfumeと中田ヤスタカのパロディがあったり、ゲスの極み乙女。のベーシスト、休日課長が関口メンディーのゴーストライター役で出演していたり、嬢王蜂のボーカル・アヴちゃんが出演していたり、音楽ネタにはこと欠かないのだが、映子役の上白石萌歌が歌う主題歌の瑞々しさといったらどう表現すればいいだろう。下手なシンガーソングライターを軽く凌駕する存在感とでもいったらいいいだろうか。とにかくドラマの枠を超えたエバーグリンな魅力の虜になってしまった。

 彼女が歌う曲には、〈未来〉や〈過去〉、〈夢〉といった言葉がよく出てくるが、自身のことを歌いながら、同時にタイムトラベラー諸葛孔明のことを歌っている。このドラマが映子の青春ストーリーなら、若き孔明の青春ストーリーでもあるのだ。その象徴的なテーマ曲「ドリーマー」の作者がYOASOBIの幾田りらであると知ったのは配信が完了してからだった。彼女は最終回にカメオ出演も果たしている。

 またアルバムには、松原みきの名曲「真夜中のドア」のカバーも収録されている。ちなみに「堕天」は、ラッパーR-指定の作品だ。