リール・ピープル ~2023年のサマーアンセム | Future Cafe

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「LOVE2」Reel Peaple

 

 

 CDの時代までは残っていた、音楽をアルバム単位で聴くという習慣。最近ではトラック単位での聴取が当たり前になってしまい、意図せずお気に入りの楽曲と出会うという機会も減ってしまった。本作「LOVE2」は、UKのクラブ系ソウル・ユニットによる4年半ぶりのアルバムだ。

 全くの新作ではなく、ここ数年におけるヴォーカリストとのコラボレーションを集めた編集盤なのだが、アルバム全体のイントロとなるインストゥルメンタルのテーマ「LOVE2 INTRO」からはじまるように、単なるシングルの寄せ集めになっていないところが嬉しい。とにかくこの幕開きが身震いするほどカッコいい。派手な曲は少ないが、アルバムならではのストーリー性を堪能したい。ファルセットが切ないラヒーム・デヴォーン、ソウルフルなエリック・ロバーソン、ファンキーでダンサンブルなスピーチ(アレステッド・ディベロップメント)、ムスィーナ、アーバンメロウなポール等が、タイトで洗練されたUKソウルを聴かせてくれる。インコグニート関連の脈も参加しているようだ。USソウルの神髄が歌唱なら、UKソウルの神髄は洗練にあると思う。ソウルユニットというあり方はUKにこそあふさわしいカタチといえるだろう。

 夏のアンせムというと、いかにも爽やかで、涼しげなヨット・   ロック等の音楽や夏フェスの定番曲を思い浮かべるかも知れないが、こうしたライト・ソウルも夏の海辺にはなかなかいいものだ。わたせせいぞう風ジャケットも気分を盛り上げる。