前2著は、それぞれ過去と未来を扱っている。本書の話題は今だ。

卓抜の比喩、圧巻の叙述で本書も殆ど一気読み。

冒頭の文章がこれ、「的外れな情報であふれ返る世界にあっては、明確さは力だ」

まさしく。たとえば次の文章。

「国民投票や選挙は、人間の合理性にまつわるものではなく、つねに感情にまつわるものだ。......是非はともかく、選挙や国民投票は、私たちがどう考えるかを問うものではない。どう感じるかを問うものなのだ。」

このような明確な主張は、本書にも随所に現れ、殆ど箴言のように響く。

「道徳とは「神の命令に従うこと」ではない。「苦しみを減らすこと」だ。したがって、道徳的に行動するためには、どんな神話も物語も信じる必要はない。苦しみに対する理解を深めさえすればいい。」

著者は、これまでの「物語」を、虚構としてすべて否定して新しい世紀の課題にサピエンスを誘う。

たとえば私も含めて殆どの人が自明として認めて来た「人権」も、生来的だと思うとしたら、それは「無知」なのだ、と著者は言う。

「そのような無知は、20世紀にはほとんど問題にならなかったかもしれない。人々はヒトラーやスターリンと戦うので忙しかったから。だが21世紀には致命的になりかねない。なぜなら、バイオテクノロジーとAIが今や人間であることの意味そのものを変えようとしているからだ。」

最後の章で著者は、自ら実践している「ヴィパッサナー瞑想」に触れている。「ヴィパッサナー」とはパーリ語で、「ありのままに観察する」ことだそうだ。










シーザーサラダ、鮪のカルパッチョ、リボリータ、牛頬肉の赤ワイン煮。