9条をめぐる護憲、改憲論の数々を検討して、私案を提示する、じつに分厚い新書。
加藤の用語は、「可誤性」などという馴染みのない言葉を使う一方で、「ユルくてずぼらな護憲論」などと、あまり論理的といえない言葉を使ったりするものだ。
核武装から、非武装中立まで、これまでの日本の選択肢のほとんどを検討して、ほとんど全部にケチをつける。この人には小異を捨てて大同につくという発想はないようだ。
かくして、加藤の立場は「憲法9条維持を外したうえで、日米安保堅持なしに、日本に、いかなる安全保障政策が可能かを具体的に提唱する」ことにあるという。
加藤の改定案とは、自衛隊の国連軍への編入である。
「9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 以上の決意を明確にするため、以下のごとく宣言する。日本が保持する陸海空軍その他の戦力は、その一部を後項に定める別組織として分離し、残りの全戦力は、これを国連待機軍として、国連の平和維持活動や、国連憲章第47条による国連の直接指揮下における平和回復運動への参加以外には、発動しない。また国連憲章第7章のめざす体制の完成後、国の交戦権は、これを認めない。
3 前項で分離した軍隊組織を、国土防衛隊に編成し直し、日本の国際的に認められている国境に悪意をもって侵入するものに対する防衛の用にあてる。ただしこの国土防衛隊は、国民の自衛権の発動であることから、治安出動を禁じられる。平時は高度な専門性を備えた災害救助隊として、広く国内外の災害救援にあたるものとする。
4 今後、われわれ日本国民は、どのような様態のものであっても、核兵器を作らず、持たず、持ち込ませず、使用しない。
5 前4項の目的を達するため、今後、外国の軍事基地、軍隊、施設は、国内のいかなる場所においても許可しない。」
そして、沖縄の米軍基地撤去あとには、国連本部を招致運営する、という構想である。米軍への思いやり予算より、はるかに安いという。


