薄削りに再度挑戦する(理想と現実とはの巻き) | ogricat-creationのブログ

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趣味の写真と、包丁を研ぐことなどを書いていこうと思います。
カメラはソニーのα7Ⅲを使用しています。

鉋の薄削りですが一度本気で試して見たいと考えています。

私「木工教室ですが、まな板しか削っていません。次に何をやるか、、、、どうしたら良いでしょうか」

師匠「そうだね、、箱でも作ったら良いよ。簡単だよ」

釘を使わないで作る箱ですが、私には簡単には思えません。元々不器用を絵に描いたようなタイプです。私が子どもの頃に授業で椅子を作りました。一つ年下の弟の椅子は綺麗なものです。それに比べると私の椅子はカタカタと音がします。理由は簡単です。足の長さが有っていないからです。さぞかし座りにくかったと思います。

ここで鉋の薄削りに付いて復習をしたいと思います。必ずやらなければならない事が有りますのでまとめたいと思います。

⒈鉋の仕込みについて

 カンナは裏が命です。裏を綺麗にするには形を見る必要が有ります。結果的に刃先が綺麗に揃う事が必要です。その為に裏を作っていくのです。その方法ですが、

①裏押し

②裏出し

③表から研ぎきる

が有ります。①の裏押しは金板や砥石を使い裏を押す事で平らにしていきます。②の裏出しは刃先がダレたりした際に、表面の地金部分を玄翁などで叩いてハガネを少し反らす事で裏を合わせます。③表から研ぎきるはそのままですが、研いで裏と合わせます。前回紹介したYouTube「天然砥石尚チャンネル」越後さんが色々と思案をして裏を作っています。

ここで一つお題を問いでみましょう。仮に裏がダレていたとしたらどうでしょうか?

いくら表から研いでも綺麗な刃にはなりません。理由は簡単です。裏が平には成らないからです。刃先よりアシの部分が高い事になりますので、この状態では、裏を押して高さを合わせるか、裏出しをして強制的に刃先を反らす必要が有ります。

ここで分かる事は裏が命とした場合、どうしても裏出しが必要と成る場合があります。

次のお題です。裏押しとは何でしょうか?

弟子「裏を押す事でしょ!」

私「そうですが」

私も最初その様に考えました。押す力加減もある人は強くと言います。逆に優しくとも聞きます。しかし、私の周りに人の殆どは「力は入れないよ」と言います。しかし私の場合、言われた様に力を入れないで研いでも中々良い裏が作れません。

弟子「どうしてですか」

私「随分悩みましたよ。その結果力を入れる事で裏を作ることを考えました」

最近の記事でも書いているように裏の作り方についてこの数ヶ月考えていました。改めて理想の裏を考えていました。理想の裏が分かれば作り方が分かるよに考えたからです。越後さんのYouTubeを何度も見直して気付きました。鉋の形を見ることを怠っていたことをです。何のために形を見るのか。そして何のための形なのかを考えれば自ずと答えが見えると思います。その都度形に合わせて先ほどのやり方を使い分けていけば良いのだと思います。例えば、裏がダレて入れば裏出しをして、ダレていなければ力を入れる必要が無く押す事で良い刃をつける事が出来ます。無理にダレを押して直そうとしていたため綺麗な裏が作れなかったのだと結論付けました。

先日紹介した切り出しです。左側のものの裏が切れそうでした。裏出しをしました。

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まだまだですが何となく前に進んだ様に感じます。

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次に表の研ぎです。今回は省きますが、大分上手に成ってきたと思います。

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最後は台の作り方ですが、重要な事は下端の作り方だと思います。色々な調整が必要な事は必須ですが特に下端は重要です。明日の木工教室では真剣に薄削りに挑戦をして見たいと思います。

 

 

本日のまとめ

高知県から柚子が届きました。橙はもう少し先に成ります。明日は午前中にポン酢醤油の仕込みをして、午後から木工教室で薄削りに挑戦する予定です。ポン酢醤油の醤油を今年は変えました。昆布も10年以上振りに利尻昆布から羅臼昆布に変更です。さて出来上がりはどうでしょうか。楽しみは年末までお預けです。

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明日の主役は圭三郎の寸八です。さて結果はどうなるでしょうか。鉋を使い色々と分かった事があります。その昔のカンナは槍鉋だったそうです。中国方面から現在の鉋の原型が入って来たと聞きます。


大工道具の曼陀羅屋さんより参考写真


カンナで綺麗に削る為にハガネと地金を組み合わせたのでしょうか。包丁も霞仕上げの包丁は地金とハガネです。どちらが先なのでしょうか。日本刀はその用途故に硬いものと軟らかいものを組み合わせる事で最強の武器と成りました。日本刀も片刃のものもある様ですが、両刃の造りのものが多い様に見受けられます。一方包丁はどうでしょうか。片刃が和包丁の定番ですが最初からなのでしょうか。カンナは台に仕込む為には構造上裏を平にしなければ成りません。そして、その使い方から考えると地金とハガネを合わせる必要が有ります。鉋の場合は刃に厚みがある為に裏出しをすることも容易に可能です。しかし和包丁はどうでしょうか?本焼きと霞仕上げの包丁ではどちらが先に出てきたのでしょうか。また、お互いのメリットは何処に有るのでしょうか。仮に裏出しが出来るなら霞仕上げがメリットと成ります。私の師匠は包丁でも裏出しが出来ると言います。しかしあの薄さでは難しいことも考えられます。形が狂いにくいとすれば本焼きにメリットがあります。一方では包丁の歪みをプロの研ぎ師は道具を使い直す事が出来ます。さて、、、答えは何処に有るのでしょうか。

弟子「師匠はどう考えているのですか」

私「そうですね、、、、理想と現実だと思いますね」

弟子「何ですと!」

現実的とは結果だと思います。鉋の場合は木を削る為には切れる事が必須です。一方包丁の場合切る物は軟らかい物が多いことに成ります。現実的には鉋の場合は作り方は一つしか無いことに成ります。包丁では両刃でも大丈夫です。しかし魚を下ろしたり、刺身を切るには片刃の方が都合が良い場合も有ります。そして、理想を言えば形の似ている日本刀に憧れます。鉋と日本刀の真ん中に包丁が有るのかも知れません。日本の刃物ですから裏が命と成りますが、鉋と包丁ではその精度は本来違うのかも知れません。しかしその中で理想の形を求めるでは包丁の方が圧倒的に幅がある様にも思えます。

弟子「どうゆう事ですか」

私「鉋の場合、形という点では大きくは変えられないかもしれません。しかし包丁の場合、刀型や出刃、タコ引きに薄刃など色々な形が作れます。勿論用途によって必要だからも一つの理由ですが、遊びと言うか格好良さや粋みたいな要素も有ると思います。その格好良さの中で本焼きや霞、両刃など理想も広がっていったのでは無いでしょうか」

さて、、さて、どうでしょうか。一つだけ言える事があります。

弟子「何ですか?」

私「色々な事情があっても、それぞれの分野で理想の刃先は有るという事ですよ!」

次回に続くです。

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