コロンブスの卵とカンナの研ぎ方 完(様々な刃の在り方) | ogricat-creationのブログ

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趣味の写真と、包丁を研ぐことなどを書いていこうと思います。
カメラはソニーのα7Ⅲを使用しています。

カンナの研ぎですが、そろそろ終わりに近づいてきたと思います。
とは言っても興味のある方は少ない事は想像できます。私自身、自分でカンナを使うとは考えても見ませんでした。包丁研ぎと比べても圧倒的にカンナを趣味にする人は少ないのでは無いでしょうか。どちらかと言えば大工さんを筆頭に仕事で扱う人、プロの範疇かと思います。
下のクズの出来は正直私には分かりません。
しかし今回薄さでは無く切れ味として結論が出ましたので紹介をしたいと思います。
以前なら企業秘密と内緒にしたく成りましたが、私もネットや動画などを参考にさせて頂きましたので今後の発展の事も考えて公開を決めました!

最終のカンナですが、写真では分からない刃先は今までの物とは違います。

 

今までもハガネに合う石を探すためにハガネの裏を使いました。昨日一つ気付いた事が有ります。

「しかし、反応が薄い」

これは何時も感じているのですが、ウラ押しをした際のトクソを拡大鏡で見ても正直良く分かりません。そして昨日こう考えました。

「平な面と平らな面を合わせても反応が無いのは当たり前では無いか!」

これが始まりでした。

*例えば、平面のガラスや鉄の板と同じ様に平面のガラスや鉄の板をこすっても削れることは無いのでは無いでしょうか。凸凹が有るため衝撃で削れて行くのでは無いでしょうか。

 

最終の刃ですが、以前紹介した薄刃包丁と似ています。実際にはカンナも最初はベタなのですが、研ぎすましていくと綺麗な糸刃が付きます。ドロを使っても同じです。縦やナナメに研ぎましたが変わりはしません。どうしてでしょうか?そこでトクソも刃先にとって障害物になるのでは無いかと考えました。

*今までは刃先が揃い綺麗に光っていました。また、この綺麗な刃先が理想と考えていました。

 

下の図ですが、

1.天然砥石の面は平面に近いと思います。またカンナも刃は平面です。同じ平面な物体を合わせても反応しないのでは無く、反応が出来ないのでは無いでしょうか。

*それを助けるためにトクソがゴロゴロと転がる事で削って行きます。

2.一方、人造砥石の面は研磨剤の細かなザラザラになっています。その為削り止まりません。耐水ペーパーの表面を想像して頂くと分かり易いと思います。

 

*上側の図ですが、砥石の平面とハガネの平面を幾ら合わせても反応が鈍いと言えます。しかも、ハガネと天然砥石の硬度は恐らく大して違わないのでは無いかと思います。

 

*中の図ではトクソがカンフル剤となり削って行くことを紹介しています。トクソは使うのでは無く、平らな砥石を補うために利用するのです。

使うと利用するの違いは何でしょうか。答えは後に成ります。

 

*一番下の図は人造砥石ですが、そもそも平面とは言えません。なので研磨力が有ります。

次に考えた事が刃の形です。これに付いても色々と聞いたことが有ります。ひねくれもの私の場合何を聞いても

「真っ直ぐな刃が一番」との先入観が有りました。普通に考えれば揃った刃先が良いに決まっています。

下の写真は先日、カンナ台を直すのに使用した彫刻刀です。

*娘が小学生の時に使ったものです。

彫刻刀にはU字の物や、V字の物が有り木を削るのに使います。刃の形ですが平な刃よりU字などの刃の方が楽に削れるように感じます。

次に薄刃包丁を思い出しました。刃先が不規則なクレーター状になる事で長切れするのかもしれないと考えた事を記事で紹介しました。

以前紹介した図です。

image

今まで聞いたり見たりした事などが頭の中を回っています。

ここで今までの事を整理してみましょう。

1.刃先は綺麗に揃っている(私の元々の考え)

2.刃先には様々な形が有る(日本包丁研ぎ協会 藤原理事長から聞きました)

3.平な刃先にキズを付けることで切れ味が変わる(藤原理事長から聞きました)

*パン切包丁などの仕組みを教えて頂きました。

4.トクソはどんどんと小さくなり研磨する細かさが変わる(色々な所で聞きます)

5.カンナはベタ研ぎする(基本と考えます)

6.タテ研ぎとナナメ研ぎ(研ぎ方などの動画やネットなどで紹介しています)

*私が見た物は斜め研ぎをしてから、最終に縦研ぎが多いです。

 

 

今回私の中で一つの答えが出ました。多少異論が出るかもしれませんが紹介させて頂きます。

基本的に刃付けに付いてですが、その前の前提として

1.カンナはベタ刃である

2.カンナの裏は平である

3.刃先はクレーター状が理想となる(天然砥石の場合)

*結果的にU字の彫刻刀の様な力を発揮します

4.トクソですが、多少は砕けていくかもしれないが、それよりも水分量で影響が変わる

5.タテとナナメ研ぎの違いを考える

 

 

 

では早速研ぎ方を紹介したいと思います。

1.裏を綺麗に研ぐ

2.表も綺麗に研ぐ

*研ぎ方は前のブログで紹介していますので省略します。

私の場合、3000番から天然砥石ですが、もっと細かい人造砥石からだと面白いかもしれません。

ここからが本番です。

3.基本的にここから裏は触りません。表ですが、相性の良い石のトクソを使いタテに研いで刃先を追い込んでいきます。イメージとしては綺麗なハマグリ刃ですが、軽くクレーター状になっています。

4.次に研ぎ方をナナメ研ぎに変えます。同じ様にトクソを使います。兎に角力のバランスに気を付けて研ぎます。力は入れません、またスピードもゆっくりと成ります。

5.研いでいるうちにトクソに粘りが出て来ます。私のイメージでは細かさでは無く密度が上がっていきます。砥石の上でトクソを練る感じです。

そうして研ぎあがった刃先はほぼベタ刃で、クレーター状になっています。

*トクソですが、使うとはトクソを使い研磨していきます。トクソががゴロゴロと転がり鉄を削るのですが限界が有ります。利用するとはトクソの上を優しく撫でるように研ぐ事で鋼の弱い部分のみ少しだけ凹みます。決して力は入れません。その為には合う石を探すのです。

次に今回使用した砥石ですが、お借りしている田村山を使いました。

ここからは私の好みとは成ります。

左側の石がウラ押しには合います。

中の石がタテ研ぎには向いています。

右側の石が最終のナナメ研ぎに良いと感じます。

 

本日のまとめ

 田村山の石を使いましたが、名倉に使う石も含めてこれから色々と試していく事に成ります。今回の研ぎ方ですが、正解かどうかは不明です。一つだけ言えることが有ります。

「クズを触り、削ってみて切れ味は今まででは一番と言えます」

 

弟子 「師匠やりましたね」

私  「ありがとう、長い道のりだった」

弟子 「次は何処を目指しますか」

私  「少しクールダウンじゃ。少しは仕事をしないとな」

さて、いかがだったでしょうか。果たして合っているのか検討違いなのか、、、、、私だけの世界とも言えます。

 

師匠  「お疲れだったな」

私   「ありがとうございます。師匠正解なのでしょうか」

師匠  「間違いでは無いよ。正解でも無いかもしれないがね」

 

コロンブスの卵とは良く言ったものです。多くの人が既に色々と試している事でしょう。今回の研ぎ方も探せば有るのかもしれません。しかし一つだけ言えることが有ります。

 「今の私にはオンリーワンと成ります」

 

カンナの研ぎ方シリーズ 完