満を持して、自身の4コマ傑作選を出版社に持ち込みすることとなったおぎぬまX。
しかし、原稿用紙を入れる封筒が全然見つからず、飯田橋周辺を駆け回り、汗だくになりながら秋田書店の門をくぐることになったのだ…!
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汗の次に流すのは血か涙か…!!
おぎぬまX・新年初持ち込みスタートじゃいっっっ!!!!
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2017年 1月18日
13時30分
秋田書店の受付で持ち込みの予約を告げた僕は、近くのテーブルに案内されて、僕のマンガを見てくれる編集者さんを待っていました。
まもなく…始まるのかっ…!
この日のために描き上げた僕の4コマ傑作選…!!果たして、通用するのか…!?
ワンサイズでかくて、ものすごく不自然だけど大丈夫だろうか…!?
…意外と欧米ではワンサイズでかい封筒で書類などを渡すのが常識で、「君、グローバルだねぇ」とか言われて逆に評価される…みたいな奇跡が起きないだろうか…!?
…そうこう考えてる間に編集者さんがやって来ました。
僕「はじめまして、おぎぬまです…!!今日はお忙しいなか、お時間をいただきありがとうございます…!!よろしくお願いします…!!」
編「よろしくお願いします」
お互い挨拶をすませると、さっそく
編「それではマンガを…」
僕「はいっ…!こちらです…!」
原稿を受け取る編集者さん。
僕は編集者さんがマンガを読んでる間、簡単なアンケートと、今週号の週刊少年チャンピオンを渡されました。
原稿用紙を読み始める編集者さん。
アンケートに記入を始める僕。
………こうして、
おぎぬまX VS 秋田書店の
ゴングが鳴りました…!!!!
アンケートを記入しながら耳をすませると、パラパラと僕のマンガのページが次々とめくられていく音が聞こえます。
……はっ…はやいっ…!!
2分ほど経ち、アンケートを描き終えた僕。
ちなみに【本格的に描き始めてから◯年目】と記入する欄があったのですが、僕はそこに芸人の事務所を辞めてからの年数…つまり、【4年目】と書いたのですが、なんだかめちゃくちゃツラかったです。
そこからカウントしても、もう4年目なのかっっっっっ…!!!!!
アンケート記入後、とりあえず手元に置かれた週刊チャンピオンに手を伸ばしますが、こんな状況で気楽にマンガを読めるわけもなく、僕は最後の方のもくじをボ〜ッと眺めていました。
すると、そこで編集者さんが口を開きます。
編「なるほど…ありがとうございます」
僕「はっ……ありがとうございます…!」
僕のマンガを読み終えた編集者さん。時間にして3分経ったかどうかでしょうか…。
16ページ…
4コマ 31本を3分かぁ……!
そして、編集者さんが僕のマンガの感想を言ってくれます。
編「ネタは……そうくるか、てのが結構多かったですねっ」
僕「は…はぁぁぁいっ…!」
緊張しすぎて、スマートに返事すらできない僕。編集者さんの感想は続きます。
編「ただ、絵に関してはプロとしては通用できないかなぁ、と。もっと模写とかして画力を上げた方がいいですね」
僕「は…はぁぁぁいっ…!」
編「ちなみに他の4コママンガとかを読んだりしてますか?」
僕「えっっっ………!!??
そうですね…!そのっ…あんまり…」
編「なら、ちゃんと今あちこちの出版社で連載してる4コマを研究した方がいいですねっ」
僕「は…はぁぁぁいっ…!」
編「なにか質問とかありますか?」
僕「えっっっ…???」
僕は焦りました。
この質問…僕の持ち込み経験上、
最後に聞くやつじゃんっっ…!!!
もう……終わるのか…!!??
これで…終わるのっ…!!??
僕「あの…僕の4コマは主人公とかストーリーとかあまり決まってない、いわゆる単発系の4コマになると思うのですが……4コマでいくとしたら、やはりキャラクターやストーリーがキチンとあった方がいいんでしょうか…!!??」
編「いや……ストーリーやキャラがなきゃダメってことはないですよ。
要は面白ければ、いいですっ」
僕「…………………………ッ……………………!!!!?????」
僕はショックを受けました。
今までの持ち込みでは……
「ネタはいいけど画力がなぁ〜」的なニュアンスのダメ出しが多かったのですが…
今回のは、つまり…ネタすらダメってことなのでしょうか…!!!!
そ、そんな……
僕「あ………あのっっ…
僕、普段から4コマ描いてまして…
今回の作品は、かつて描いた4コマ200本の中から評価のよかったやつだけを厳選した傑作選なのですが…………」
編「ほおっ」
僕「あのっ………実際のところ、今回持ってきた4コマの中で面白かったのって何本くらいあったんでしょうかね……??????」
編「なるほど、そうですねっ…。
これ、と…これ……かな?
あとは、普通って感じかな?」
僕「……が…ぃっっっっ…!?!?!?」
僕は愕然としました。
今回の持ち込み作品は………
かつて描いた200本の中から厳選した31本の4コマたちである……!!!!!!
その最強軍団の中で、面白いと言ってもらえたのは……………
2本…!!!!!!!!!!!!!
200本描いて……………
2本………!!!!!!!!!
ひ……
皮肉なことに………………
僕が一番好きな数字は…………
2!!!!!!!!!!!!
僕「わ、わははっ…」
編「小学館とか、竹書房あたり行ってみるのも手かもですねっ」
僕「……っ…!!!!!」
かろうじで、意識を保っていた僕に残酷に放たれるトドメの一撃…!
おいおい…
よしてくれよっ……
ふ………
普通は他所の出版社に人材流したくないだろうっっ…!!!!
編集者さんの言葉の裏に含まれたメッセージを読みとり絶望する僕。
わざわざ敵(ライバル出版社)に塩を送る必要はないのである…!!!!
優秀な人材なら手放したくないのである…!!!!
いや……なにを言ってるんだ…
僕は…塩じゃないのだ……!
塩なら敵に送らないから…!
爆弾…!
他所に送っていいのは爆弾…!!!
我、爆弾…!!!!!!!
僕「われ…ばく……」
編「あと、言葉遊びっぽいネタがいくつかありましたが、そういうのは古い印象を与えるかもしれませんので、最初に持ってこない方がいいですよっ」
僕「……は…ぃ…っ…!!!」
………
……
…
こうして、僕の新年初持ち込みは終了しました。
別れ際、編集者さんに「ギャグは口出しできない部分もありますので、ひたすら努力してください」と言われました。
編集者さんにお礼を言うと、僕は秋田書店から立ち去りました。
時計を見ると13時59分でした。
2時前っっって…!!!!!!
入ったの13時30分だぞ…!!!
己の無力さを噛み締める僕。
担当もつかず…
名刺も貰えず…
原稿すら預かってくれなかった…
…あ!
…じゃあ………
封筒いらなかったじゃん…!!!!!!!!!!!!!
トボトボと飯田橋駅に帰る僕。
僕の頭の中では「26文字の漢字」が脳内を突き破る勢いで飛び回っていました。
『完敗敗敗敗敗敗敗敗敗敗敗敗敗敗敗敗敗敗敗敗敗敗敗敗敗』!!!!!!!!!!!!!!!
新年早々、圧倒的な敗北…!
「出鼻を挫かれた」、なんてレベルではない…!
「頭部にショットガン炸裂」!!!!
ぐ……ぐぅぅぅぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっっっっ…!!!!!!!
しかし…悔しさと同時に、とてつもないほどの創作意欲も湧き上がっていました。
必ず……必ずリベンジしてやる…!!!!
だけど、その前にまずは……ヤケ食いだ…!!!!
僕は近くの喫茶店に入ると、高めのコーヒーと高めのパン2つを持ってレジへ向かいました。
今日の悔しさをバネに、必ずリベンジしてやるんだ…!!!!!
レジの人がお会計を言います。
「1500円です」
僕はパンを一つ棚に戻しました。
「930円です」
背に腹はかえられないとはいえ、
僕は切なくなりました。
やけ食いっていうか、
普通の人のランチじゃん…!!!
僕は獣のようにパンをかじりながら、心の中で叫びました…。
も……
持ち込みではズタボロだったけど、一応チャンピオンの新人賞には投稿しとこっと…!!!!!!!!!!
2017年・初持ち込み……完!