8月19日(金)
施設の夏祭りでお出しするたこ焼きを家で仕込む。
それをペットボトルに入れて持って行く。
①ボールにたこ焼きの粉と水、生卵を入れて泡立て器でかき混ぜる。
②ペットボトルの口にじょうごを挿してたこ焼きの生地を流し込む。
このシンプルな2つの作業をすればいい。
しかしやってると母がスッ飛んできて手伝おうとする。
ありがたいが一人でできる。今、生地を注いでるんだ、こぼれるからやめてくれ。
「粉がダマになっとるで。混ぜたるわ!」と言ってボールの中をかき混ぜ始めた。
「今、汁をいれとんねや!混ぜたらこぼれるやないか!」
私が怒号を放つ。母は聞く耳を持たない。激しくグルグルかき混ぜる。
「や、やめろ!泡立て器の隙間に俺の指がねじ込まれてる!離せ!回すな!俺の指がもげる!」
母は聞く耳を持たない。グイグイ回そうと必死になっている。
私は力尽きて手の平からボールを滑り落としてしまった。
床の上にたこ焼きの生地をブチ撒けてしまった。
部屋じゅうがドロドロ沼になった。
なんでいつもこうなる?
何をやっても上手くいかない。
ルー・クリスティ「The Gypsy cried」
たこ焼きの汁ブチ撒け事件。
そんな逸話を面白おかしく話したら、ご利用者さんが大笑いしてくれた。
中には私の手を握って「お母さん悪ないんやからな、やさしくしたってな」と懇願する方もいた。やさしい。
「分かってますよ、ありがとう」と私も大笑いしながらお礼を言う。
なんて優しい世界なんだろ。
薄いハイボールを飲んでたら、少しずつフワーっと酔ってきた。
今日のことを思い出してひとりで笑う。
優しい世界は遥か彼方のまぼろしだったのに、今私の目の前にきている。
過ぎてゆくまで、じっと見つめていようと思う。