8月22日(木)
毎朝、明け方に目が覚める。 腹が減って目が覚める。
今朝は午前5時に目が覚めた。
ノソノソと寝床から這い出して、窓の外を見た。
朝焼けがキレイだった。
毎日、夜7時には夕食を終え、その後は何も食べない。
そんな食生活なので、必然、朝、空腹で目が覚める。
東京にいた時には不可能な食生活だ。
心の空虚さや欲求不満を全部ドカ食いでごまかしていた。
今の暮らしはとても身体に良さそうだ。
血糖値も下がってると思う。ぜひ続けたい。
心から母に感謝デス。
そうではあるが、健康的な生活には違和感がアル。
オレみたいな陰険な暗黒人間がクリーンな生活を続けててイイのだろうか?
いつか精神が破綻して、地獄へ向かって暴走しだすんじゃナイカ?そんな不安が頭をよぎる。
これから働いて、普通に給料が貰えるようになったら、毎晩、近所のスナックに通ったりするのだろうか?
度し難くババアなホステスに入れ込んで、ガチ恋でズタボロになり、見栄を張って散財しまくるのだろうか。飲んだコトないが、ヘネシーとかボトルキープしたりして…。
「お前は大阪に帰ったら絶対音楽やらなくなるゾ!近所のスナックに入り浸って、ホステスに入れあげるゾ!」
親友のエコエコサイクルズ山田は、そんな予言めいたことを僕に言った。
「パッと見は70歳超えのババアだが、歳はお前と同じ50くらいのホステスと速攻で同棲スルゾ!」
エコエコ山田はそう断言した。ヤマトラダムスの大予言だ。
「ドキチ◯イが!ちょっと待てよ、オレは筋金入りのアイドルヲタクなんだぜ?BBAと同棲するワケねーだろ。年の差30アンダーは絶対条件なんだ!」
そう反論しても山田は聞く耳を持たなかった。
「いや絶対、間違いねーから」と何度も念を押された。
今日も何事もなく一日が終わった。
夜はスナックではなく、自部屋でひとりで飲んだ。
安息の日々が続いているが、少し淋しく感じる夜もある。
そんな時、エコエコ山田の言葉を思い出す。
『テメエは70超に見えるBBAと同棲する!』
その言葉が僕を支配し呪縛する。
「でもさ、スナックに行けば「恋人」に出会えるのカナァ…」
寂しさに耐えかねて、ついつい、そんな妄想をしてしまう。
得体の知れない孤独に、こんがらがってしまう。
「スナックに行けば、こんな俺でも、いつかお姫様が…(もしくはBBAが)」
ウットリ夢見ながら、近所のスナックの前を行ったり来たりしている。中に入る度胸はナイ。
いつもニコニコと、愛想よく暮らしてきたが、とどのつまり、人に心を開くことができず、じっとヒザを抱えているような日々だった。
もうやめよう。
これからは、たくさん心を開いて、心から笑い合える、そんな人生を送ってみたい。
そう夢見ながら、今夜も必死の形相で、スナックの前を行ったり来たりしている。
アデュー。今夜もアデューだ。
スナックの扉の向こう側には、何が待ってるのだろうか。
Someday My Princess Will Come…
いつの日かお姫様が or BBAが…。