状況を整理すると、エピフォンのバイオリンベースをネットで注文し、週末にそれが届くと、中身を確認して翌日にはメトロノームとチューナーを楽器店に買いに出かけた。
その日、戻るとすぐにカニ歩きという運指練習を始め、それから一週間ほどが経過した頃、初めてメトロノームというものを使い始める。容赦なく進むクリック音に合わせて弾くのが思ったより難しく、戸惑った。
何度も書いてきたが、ベースを手にしたからと言って、即座に憧れのベースヒーローのように弾ける訳ではないので、弾けない自分への苛立ちのようなものと、諦めのようなものが意識を支配し始めていた。
そんな時、どこかで見たネットの記事に、いやこんなことはどこにでも書いてあったのだろう。メトロノームを使う際には、クリック音とクリック音の間に音があることを意識して、その部分を裏拍と捉えてそこに音を合わせるようにすると良いのだというのを思い出して、やってみようと始めた。
最初はクリック音の間に自分の音を挟む事が頼りなく思えたが、慣れてくると掛け合いみたいで面白くなってきた。
交互に一定の間隔で、自分の音とクリック音が鳴ると気持ちがよく、初めて練習が楽しいと思えたのである。