旅行好きでありミステリー好きの私は、トラベルミステリーが大好きだ。しかしもはや、トラベルミステリーは成立しないのではないか。少なくとも、30年前のようなトラベルミステリーはもはや成り立たないであろう。
あの頃は、列車といえば走る密室だった。走っている間は人の出入りができないだけではなく、外部との連絡も遮断されていた。そのために成立するトリックやアリバイ工作も多々あった。某大御所トラベルミステリー作家が、新幹線にしか車内電話がない時代に在来線特急にも電話があるという設定で作品を発表して、鉄道ファンの大バッシングを受けたということもあったが(笑)。
そしてトラベルミステリーの花形ともいえる時刻表トリック。これは日本が誇る国鉄(JR)の定時性があってこそ成り立つものだが、今は数分程度の遅れは日常茶飯事だし、何かがあればすぐに運休する。綿密な犯罪計画を練ろうと思ったら、危なっかしくって鉄道は利用できない。特に冬の北海道はひどいもんだ。
時代は変わってしまったなあ。
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