ボルト選手の走りの科学(2) | 名古屋市でスポーツ障害専門院なら「オオガイ・カイロプラクティック・オフィス」

前回からの続きで、ウサイン・ボルト選手が肉体改造をしたことで、故障が少なくなった他にも生み出された効果について。

それは、不安定な骨盤の大きな振れを逆にメリットに変えることにもつながったということです。骨盤が大きく前に傾くことで、足の蹴りが地面により大きな力を伝えられるということです。例えるなら、ハンマーで地面に刺さった杭を打ち込むイメージです。

実際、左右の歩幅の差がそれを証明しています。ボルト選手の骨盤の傾きには左右差があり、左前に傾く方が大きくなります。つまり、右足より左足で地面を蹴ったときの方が、骨盤がより前に傾き、力を地面に伝えているということです。

それは測定結果からも明らかで、右足で蹴ったときの歩幅は2m59cm、左足のときは2m79cmとその差20cmもあったのです。

番組でスポーツ医学の教授がこんな興味深い説明をしていました。

「骨盤の動きは非常に強力な車のエンジンに例えられます。弱い車体に載せたら車が壊れてしまうが、それに耐えられる車体を手に入れたときには、凄いパワーを発揮できるのです。人間の身体には優れた順応性があり、肉体の可能性は想像をはるかに上回るものなのです」と。

世界新記録を出した時のトップスピードが44.46km/hでしたからね。想像するだけでもとんでもない速さです。

しかし大会までにベストコンディションの状態にもっていくのは、薄氷を踏むような繊細なトレーニング調整が必要でしょう。ボルト選手にとって骨盤の大きな振れは、まさに諸刃の剣ですね。

気になることもありました。ボルト選手の驚異的な速さから、彼のランニングフォームを真似したい、また既に行っているということをしばしば見聞きします。趣味で走っているレベルではなく、中には全国レベルの競技者でさえもあることです。

今までの説明からも、本質を理解しないで上辺だけの見た目を真似たフォームが、いかに意味がなく危険なことかお分かりでしょう。ボルト選手は速く走るために、肩や骨盤を大きく揺らして走っているのではなく、曲がった背骨からくる不安定さを補正するために必要に迫られて今のフォームになっているだけなのですから。

フォームだけを真似て走っていると、タイムが縮むどころか、身体を壊すことさえ十分考えられます。競技者だけでなく、指導する立場にある人も特に注意して欲しいと切に思います。

 僕は、ボルト選手は恵まれた身体を活かし、大きな挫折もなく順風満帆に世界の頂点に上り詰めたのだとばかり思っていました。しかし、驚異的なスピードや世界記録も背骨の病気と正面から向き合い、地道なトレーニングで困難を克服してきた結果だったのですね。

ロンドンオリンピックは開幕しました。今回はまた違った視点からボルト選手の走りが観られそうで、今から非常に楽しみです。



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