『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』貫き通した“VS”。見事な構成… | オレンジの園に

オレンジの園に

2014年3月、某局で放送された
『55スペシャル』で
“モーニング娘。”に目覚める。
基本的に特定メンバーを
偏愛しないと心に決めているが、
“オレンジ”系には目がない。
2015年9月にライブ初参戦。
このブログは
娘。ライフの備忘録である…

 

https://www.tv-asahi.co.jp/lvsp/

 

最終回を見直してみて

この最終回はもちろんなんだけど、

全体的にキッチリ練られた構成とキャラクターに

改めて感心したというか、感動したというか…。

 

“VS戦隊”って新機軸。

片方が快盗でコレクション回収って

絶対に失敗できないミッションを課せられている以上

ストーリーを主体的に動かす存在。

もう片方はギャングラーが暴れたり、

快盗が現れたりしない限り動けない

警察っていう受動的な存在。

さらに言えば、ストーリーのゴールが

コレクションのコンプリートであるのなら

警察が快盗に勝利したり

快盗を捕らえたりすることができない。

そのことで、

実際の人気でも快盗が“主”、

警察が“従”にならざるを得なかった。

 

だが、主人公はいわば“日陰者”。

影をまとったその存在との“対照”として

パトレン1号=朝加圭一郎が輝きを増していく。

 

魁利の影は快盗だからだけではない。

ザミーゴに氷漬けにされた兄・勝利に対する拭いがたいある種の感情。

それは劣等感なのかもしれない。

一方の圭一郎は純粋に警察官を目指し、人々のために尽くそうとしている

かなり“暑苦しい”熱血漢。

魁利は圭一郎の立場を理解しているが

圭一郎は魁利が快盗とは知らない一方通行の関係。

 

物語が進むほどに

圭一郎は胸襟を開いて魁利との距離を詰めようと試みる。

そういう姿が兄と重なってしまう魁利。

自分が圭一郎=兄のようになれないと知ってるからこそ

別れてしまった快盗と警察の道のように

近付くことはあっても決して交わることがない。

“VS戦隊”ってコンセプトは

両レッドのキャラクターによって際立っていく。

 

何度も何度も魁利に心を開かせようとする圭一郎。

時を経て圭一郎を理解しているからこそ、

それを受け入れられない魁利。

あくまでも“私闘”によって目的を果たそうとしている魁利にとって

警察官の立場を捨ててでも魁利に寄り添おうとする圭一郎を

“犠牲”にするわけにはいかないのだ。

お互いがお互いを深く理解し、信頼を寄せるからこそ

“共闘”はあり得なかったわけだ。

 

物語の最重要アイテムに“氷”があった。

ザミーゴが繰り出す氷漬け攻撃。

魁利の兄が凍ったことは、

魁利の心のメタファー。

兄を開放すること=自分の心を自由にすること

それが快盗としての原動力に違いない。

この凍った男=魁利を

兄に代わって温め続けたのが圭一郎で、

それが最終回、圭一郎のドグラニオ戦ラストで

ドグラニオ拘束って展開へとつながっている。

(背中合わせの圭一郎と魁利ってシーンが

これまで培ってきた深く強い関係を象徴している)

 

ラスト2話には様々な想いや仕掛けが集約されている。

ダイヤルファイターに金庫開錠機能が備わっているのなら

トリガーマシンには金庫施錠機能ってのは

快盗と警察の特性に準じていて納得。

(ただ、唐突感は否めないけど)

 

第1話で語られた“例え誰かが倒れても残った奴が望みを叶える”って言葉を、

ザミーゴ戦でレッドが実践。

もちろん、1年前とすっかり心持が変わっているのは

復活したブルー、イエローに対する態度で明らかなんだが。

 

ドグラニオの金庫に閉じ込められている魁利たちと

それを知っていて戦わなければならない警察。

ヒルトップは倒せと命じたが

快盗を見殺しにはできない圭一郎。

これも時間をかけて築き上げた魁利と圭一郎の関係性を

分かりやすく示している。

 

あれだけ強いドグラニオが

何故跡目を誰かに譲ろうとしていたかも、

実は老醜を晒したくなかったって理由が最後に明示される。

だが、誰もドグラニオの眼鏡にかなわず、

結果的に自暴自棄気味に自身が暴れることに。

最後はたった一人で戦うドグラニオと

仲間と力を合わせ、快盗の思いも背負う警察。

勝敗は火を見るよりも明らかだ。

 

快盗の華麗なる復活に

力を貸したのが新快盗。

快盗が命を賭して復活させた大切な人3人が

快盗を救い出すためにジャックポットストライカーを“回収”。

漫画家志望の“しほちん”が

快盗は近い未来に絶対復活するって断言するその時には

新快盗として活動していたんだろうね。

 

最後の最後、

快盗と警察がギャングラーを巡って乱戦を繰り広げるが、

その時の快盗変身シーンと

“あんたのお宝いただくぜ”のセリフが

全てを理解した上で“VS戦隊”の維持しようとする

快盗の“喜び”を見事に表現していた。

ぶれずに最後の最後まで

番組コンセプトを貫き通したのは

視聴者との約束を絶対に違えないって

スタッフの心意気なんだろう。

 

まだ“未解決”な問題、

ルパンコレクションのコンプリート、

ギャングラーの壊滅、

ドグラニオの処遇等々、

積み残したことが少なくない。

これは次期戦隊との“VS”で

一挙に始末をつけるんだろうか?

それとも別に新作を作ってくれるんだろうか?

商業的な意味では失敗作だったことは

次期戦隊を見れば明らかだが

純粋な映像作品としての評価は全然違ったものだろう。

だからこそ、新作による“決着編”に期待したいね。

 

とにかく、脚本というか構成がよく考えられていて

(ご都合主義的な部分もないわけじゃないが)

それが大人の評価につながっているのだろう。

また、映像におけるチャレンジも

番組の盛り上がりに大いに貢献している。

二昔も三昔も前に戦隊を見ていた身としては

ただただ驚くばかりの“特撮”だった。

 

戦隊侮るなかれ。

30分の販促番組なんて揶揄されるけど、

制約があるからこそ

磨かれる技術もある。

それを思い知ったいい1年だった。

一応全話撮り溜めているから

近々一気見してみようかな。

きっと、キャストの成長が手に取るようにわかるだろう。

 

面白い作品を本当にどうもありがとう。

個人的には工藤出演を差っ引いたとしても

“名作”と言っていいと思うなぁ。