『広島のお好み焼き店、5年間で15%減 高齢化と物価高がソウルフードに直撃
～37年間営んだ店を閉じた夫婦「どちらかが倒れたら…他の人に同じ味は出せない」～
お好み焼き店の閉店が広島県内で相次いでいる。店主の高齢化や原材料価格の高騰が重くのしかかり、後継者を探すのも容易ではない。広島を代表する食の先行きが、老いと物価高に揺れている。ソースや青のりなどの仕入れ値は3年前の約1・5～3倍に上昇。2023年4月には、開業以来据え置いていた価格を50円値上げし、700円にした。店主（76歳）は「仕入れ先が、毎回のように値上げすると伝えてくるようになった。子どもたちには今の生活がある。継がせようとは思わなかった」と振り返る。開業は15年。経営していた鉄工所を閉じた後、知人にお好み焼き店の居抜き物件を紹介された。細めんにケチャップを絡めた肉玉そばが売りで、昼には18席がすぐ埋まった。「客相手の商売は楽しかった。もう1年、もう1年と続けてきたが、ゆっくりしたい」高齢化で体力に不安を感じる人は少なくない。
昨年8月に37年間の営業に幕を閉じた店主（70歳）と妻（69歳）夫婦は、最大15枚を同時に焼く体力勝負、鉄板の前に長時間立つ負担が体にこたえるようになった。「2人のどちらかが倒れたら、店の後始末をするのは大変。他の人に同じ味は出せないから、私たちの代でやめることにした」と静かに語る。
データも苦境を物語る。国の経済センサスによると、県内のお好み焼き店（焼きそば、たこ焼き店も含む）は12年に1642店、16年は1605店とほぼ横ばいだった。ところが直近のデータの21年は1364店と5年間で15%減った。「お好み焼き店は焼き手によって味が大きく変わる。体力的にしんどくなった店主の多くが後継者問題に直面している」と分析。原材料の物価高を受け「昔ほど利益率は良くない。新型コロナウイルス関連の補助金も削減され経営の厳しさは増している」と指摘する。逆風の中、値上げをして踏ん張る店も。全メニューを50円上げ、肉玉そばは1枚900円にした。「人とおしゃべりできなくなったら人生つまらない。体力がある限り続ける」と気丈に笑う。』(2025.2.22 中国新聞）
人材関連の仕事をしていると後継者問題を耳にする機会が多い。今に始まったことではないが、中小企業の行く末が心配です。所長さんがお亡くなりになって閉鎖した弁護士事務所、病に倒れ事務所を閉めた会計事務所、奥様の逝去に伴い工場閉鎖した社長さんなど、これまでも中小企業の最後をスタッフと一緒に数々看取ってきました。人材不足、高齢化問題、後継者問題、そしてここにきて物価高、中小企業ひいては日本の文化さえ消失させかねない。
残念ながら最期を迎えられたこれら大先輩方の背中を見てきた者としては、後継が居ないし無理に継がせるのも気の毒、自分が倒れたら幕を閉じようという覚悟がみられ、自身の終末が来ることを自覚し、その時がきたら後の従業員のことは任せます、そんな意図を含んで派遣依頼を受けているように感じます。「わたしにはネットの求人広告の出し方などわかりません。定年までの保証もできませんから社員などとても雇えません。もうそんなに長くはないでしょう…、それでも助けていただけますか」こういう依頼は昔から多い。自身が果てる日が近いのでそれまでのお手伝いとして派遣スタッフ（むしろ人材派遣会社そのもの）を活用していただいてきました。
これら社長さん達にとって「派遣」は最後のライフラインだったのです。世は正社員正社員というけれど、その正社員の成り手がなくヒッソリと消えていくもののことを派遣会社以外に誰が気に留めているというのだろうか。今現在も、そしてこれからも、少子高齢化と物価高と人材不足と後継者問題がある限り、こういう方々のために派遣は必要不可欠なのではないかと感じざるを得ません。最後に「ありがとう」という言葉で報われるというか、この仕事やっててよかったなと思う瞬間です。きっとスタッフさんもそうなんだろうなと思う…。
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