第907話「小さな出会いと少しの会話(コラム)」 | OFFiSTA オフィスタ・ブログ

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はたらく女性/育児とお仕事がメイン・コンセプトのハケン会社オフィスタです。
ここでは派遣のお仕事についてハケン会社の立場から日々思ったこと・感じたことを綴ってみるWeeklyコラムです。

 

ある週末。美容院で髪をカットし、帰路はバスを利用することにした。

私の住む地域では、鉄道路線から外れている代わりに、割とバス路線が充実している。時間が合えば利用することが多い。発車時刻より少し早く停留所に着くと、小柄な女性が一人待っていた。美しい白髪のショートカット。耳元にはピアスが揺れている。薄化粧をされていて、薄手のサマーニットと相まって涼やかな印象だ。あまりにもおしゃれな雰囲気だったので、思わず声をかけた。

 

「お髪が素敵ですね。どこでカットされているのですか?」

女性は、あら?という表情を一瞬されたが、直ぐに柔らかな笑顔でこう答えられた。

「ありがとう。これはね。美容院じゃなくて床屋さんで切ってもらってるのよ。もう高齢だからね。あまり色々気にしなくなったのよ」(高齢?いや、どう見ても60代くらいにしか見えないけれど)

女性は続けてこうおっしゃった。

「もう80超えているからね。汚いおばあちゃんにはなりたくなくて、それだけは気をつけているの。でも、困ったこともあるのよ」

聞けば、女性の悩みは、年寄り扱いされないことなんだそう。バスや電車で優先席に座っていると、高齢者が前に立つことが多い。気にし過ぎかもしれないけれど、無言の圧力を感じる。自身もバスや電車で立ったままの移動が大変な時もある。優先席を利用したい。でも、前に立たれてしまう。そして、ご自身が席を譲られることはほぼないのだそう。

世の中には色々な悩みがあるものだ。私の周りには、逆の悩みを持つ方が多い。還暦を超えて70代、80代になっても、身体を鍛えたり、若い世代と交流して知見を広めたりされる。そういう方々にとっては年寄り扱いなんてもっての外なのである。

 

さて、加齢に抗うのか受け入れるのか。それは自分の心持ち次第。

「バスが来ましたね。お話できて楽しかったわ」

幸いバス待ちは私も含めて3人。女性が先にバスに乗り込まれ、優先席に座られたのを確認し、私も着席。帰路についた。

 

 

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