ある日のランチ。
少し忙しかったので、ささっと食事を済まそうと、カレーライスを選択。
甘めのルーを熱々ご飯と共に口に運んだ瞬間、ガリっとしたカレーらしからぬ食感。
「米に小石でも混じっていたのか。」
とにかく異物であることは間違いないので、飲み込むわけにはいかない。
行儀が悪いけれど、そっとティッシュに出してみる。
出てきたのは、銀色の小さな破片のようなもの。
「もしや…」
恐る恐る舌先で奥歯の辺りを探る。すると、左の奥歯に大穴を確認。
カレーのような柔らかい食事で取れたということは、かなりガタが来ていたのだろう。
経験上、詰め物が再利用された試しはないけれど、万が一もあり得る。
当日対応してくれそうな歯医者をネットで検索、予約を完了させた。
ところで、歯の詰め物の形状を一見し、「アレ」に似ていると思った。
例えば、ネットで会員登録をする時、画像をはめ込む「アレ」。
マウスがあると楽だけど、タッチパッドだと少々苦戦する「アレ」。
知らないことを放置すると時代に取り残されてしまう感が強い今日この頃。
早速調べてみた。
「アレ」は、「CAPTCHA」と言うらしい。私が奥歯の詰め物でイメージしたのは、正確には「画像認証CAPTCHA」。
ざっくり言うと、セキュリティ強化を目的とした本人認証の仕組み。
例えば、ネットで会員登録をする場合、フォームに個人情報やクレジットカード情報を入力する。
決められた通り正確に入力していく。
でも、実はそれってコンピュータにもできること。
というか、コンピュータにとっては、得意なこと。
なぜなら、個人情報さえ入手してしまえば、あとは決められた通り正確に入力するだけだから。
ただ、コンピュータは万能ではない。不得意もある。
それは、「曖昧さ」に対応すること。不完全、不鮮明な画像を見て「これが適当か」と判断したり、人間らしい操作(マウスの軌道など)を再現し、操作することは難しい。
そこで、このようなコンピュータの弱点を利用したのが「CAPTCHA」の仕組み。
認証の画面を人間に操作させることで、人間かどうかの判断をする。
なるほど、だから、「文字認証CAPTCHA」の場合は、画像が不鮮明で歪んで意味のない文字列を読ませたりするのね。納得、納得。
ただし、この仕組み、デメリットもある。
まず、視聴覚障碍者には使えない。これは、その通り。
次に、100%安全というわけではない。この仕組みを作ったのが人間ならば、サイバー攻撃をする側も人間だから、これは当然と言えば当然。
どちらかが圧倒的な優位に立つことは難しいことは想像に難くない。
そして、認証の難易度のさじ加減もなかなか難しいらしい。
どういうことかというと、例えば「文字認証CAPTCHA」の場合であれば、ランダムな4文字よりもランダムな5文字の方が難易度が高くなる。
また、全部ひらがなよりも、一部に英数字が混じるとこれまた難易度が高くなる。
要は、 開発者が「これくらいなら大丈夫だろう」と設定しても、難易度が高いと、利用者が操作できず、人間なのに人間としての証明がいつまでたってもできない事態に陥ってしまうということ。
デメリットはあるようだが、この仕組み、人間らしさという極めて曖昧なものを人間かどうかの判定基準とした点が面白いなと思った。
開発者がどういう意図でこの仕組みを作ったのかその辺りにも興味津々。
世の中には知らないことがたくさんある。インターネットの普及で、情報は知りたければいつでも入手できる便利な時代になった。
常に頭の中を最新化しておく努力を惜しまないでおこう。
今回は、奥歯の詰め物が最後のご奉公(?)として、「CAPTCHA」に導いてくれた。
取れた詰め物は、奥歯に戻ることなく歯科医によって廃棄されたが、新しい詰め物が奥歯に収まった。今は快調そのもの。カレーライスも美味しくいただけている。
※本記事はオフィスタNEWS+αの読者投稿を引用させて頂きました。
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