働き方改革関連法の成立で、「同一労働同一賃金」に関連する「労働契約法」、「パートタイム労働法」、「労働者派遣法」の三つの法律が改正され令和2年4月1日施行されます。
パートタイム社員が同じ部署の正社員と比較して自分の賃金が低いのはおかしいと思って、会社や裁判所に是正を求めようとしても現在の法制下では何がおかしいのか、何が不合理なのかを判断できる具体的な基準がありません。また、会社にとっても、何がおかしいのか、何が不合理な待遇差なのかわからなければ適正な改善も人事制度も決定することができません。そこで、世の中の流れもあり、どのようなものかを具体的に例示して法的な効力を持たせることが必要になったというわけです。
企業も労働者もみなさんが真っ先に気になるのは以下のような点ではないでしょうか?
総務部の正社員(年収500万円)の女子と同じ仕事をしている派遣社員の年収は500万円になるのか?
週5日勤務の正社員(時給換算2000円)の女子と同じ仕事をしている週1日だけ出勤の派遣社員の時給は2000円になるのか?
正社員にボーナス3カ月×夏冬2回の賞与を払ったら派遣社員にも同額支払うのか?
正社員に退職金1千万円支払うなら派遣社員にも同じ退職金を支払うのか?
正社員は毎年昇給するなら派遣社員も同額昇給させなければいけないのか?
こんな調子で次々と挙げていくと、企業の担当者の方々からは「ふざけるな!」と怒鳴られそうですが、労働者にしてみればこういう世の中になったらいいなと思いませんか?これが同一労働同一賃金の基本理念です。
同じ立場で同じ労働をしていれば同じ待遇にする。労働者からしたら素晴らしいことです。が、結論から言うと現実問題として上記のような“同一”にするなんてことは到底不可能だということは皆さん自身も、法を作ったお役人さんたちも、可決した政治家さんたちもみな、内心口には出さないけれどわかっていることなのかもしれません。給料が上がるのかなと期待していた読者のみなさんには期待を裏切ってしまうようで申し訳ないのですが、この法律を紐解いてゆくとその辺が見えてきます。
この法改正はとても複雑で難しいので、ここでそれを説明しているわけにもいかないので、詳しく知りたい方は、以下のオフィスタNEWS第142号でまとめてありますのでこちらをご覧ください。または、『厚生労働省発行のガイドライン』を参照しご確認ください。
(参考)オフィスタNEWS第142号(特集:『法改正:同一労働同一賃金制度の解説』)
この法改正で派遣料金の値上げが全国的に起きています。法改正だからと言って特段派遣料金の値上げが必須というわけではないのですが、何故今このようなことが行われているのでしょう。
一つには、現時点で法施行もされていない中、どこの派遣会社も法改正の中身自体理解し得ないまま、手探りで準備しています。先にも書きましたがこの法改正は法律専門家でも全てを把握できかねるくらい高難度で、通常の派遣会社の営業マンレベルではこの法改正を現時点で完璧に理解することは到底不可能だろうと言われています。オフィスタ職員の中にも完全に理解している社員は恥ずかしながら1人もいません。それくらい複雑で難しい法改正です。
そのため値上げの風潮だけが独り歩きして、誰もわからないのをいいことに値上げの理由や根拠や詳細が不透明なまま派遣会社の言うがままに値上げ合戦が行われてしまっているという噂を先々で耳にします。その根拠が不明瞭だったり、中には「法改正なのでとにかく値上げになります」と説明もしどろもどろのまま、何だかよくわからない内に法改正だからのゴリ押しで派遣料金の値上げを迫られたと溢す担当者も多く見かけました。
施行されてもいない現時点でよくわからないまま値上げに応じるのは危険です。正体がはっきりした時点で値上げの必要性があるならそれに応じて派遣先企業と派遣会社が相談すべきだとオフィスタは考えています。
企業から「オフィスタさんは値上げしないの?」とよく聞かれますが、値上げの必要がなければ派遣料金の値上げはしません。その代わり、今後、この法律の正体がハッキリして、そこで本当に値上げの必然性に迫られる状況下になったときは、その明確な理由も添えてご説明しますので、その時には派遣料金の値上げにご協力いただくのがお互いフェアなやり方ではないかと考え、現時点で値上げはしていません。
オフィスタのお取り引き企業さまへ
私どもオフィスタとお取り引きのある企業さまより今後のスタンスを尋ねられることが増えましたが、我々オフィスタは施行もされていない現時点ではこの法律のことがわかっていません。そのような段階で無責任に意味もわからず値上げはしたくない、不透明な値上げはしたくないと考えますので、法の正体がハッキリするまでは「時期尚早、当面結論保留」を結論とさせていただきます。
年度末なので早く決めてよ!という企業さまもいらっしゃると思いますが、見切り発車はしたくありませんのでご迷惑おかけいたしますが、施行後の様子見の上で改めてご相談させて頂くかもしれませんがお許しください。
オフィスタのスタッフ各位へ
今後、法遵守により必要な対応をしていきますが、現時点で法施行前につき不明確な点も多く、経緯や動向を鑑みて待遇の向上を目指し、必要に応じて対応していきたいと思っています。今現在で明確な回答ができませんが、法改正で定められている待遇それ以上の改善をしたく実施に向けての検討を重ねておりますのでお待ちいただきたく申し上げます。
(参考)オフィスタNEWS第142号(特集:『法改正:同一労働同一賃金制度の解説』)
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