第629話「2020年の雇用動向の予測と考察(前編)」 | OFFiSTA オフィスタ・ブログ

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はたらく女性/育児とお仕事がメイン・コンセプトのハケン会社オフィスタです。
ここでは派遣のお仕事についてハケン会社の立場から日々思ったこと・感じたことを綴ってみるWeeklyコラムです。

慌ただしい年末も過ぎて、あっという間に2020年に突入です。毎年感じることですが改めて振り返ってみると昨年も色々ありました。職員から1年を振り返っての感想や意見を収集し具体的に紐解き考察してオフィスタからの視点でみた2019年の振返りと、そこから毎年恒例の2020年の雇用関連の予測をしてみたいと思います。

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2019年に感じたこと】

①昨年頭に2019年は主婦・育児者層が働き方改革で扶養内勤務が難しくなり労働離れを起こす可能性があるのではないかと予想しました。つまり、女性労働者のフルタイム化の強制推進はワークライフバランスの崩壊を意味し、「そこまでして働かなくてもいいか」という家庭も出てくるかもしれないということを書きました。オフィスタとしてはコンセプト上、「扶養内勤務にこだわる女性」を応援し就業の機会を作れるようにしたいと宣言しました。

 

結果的には、既にお気付きの方も多いと思いますが、昨年1年間で雇用市場から“週23日扶養内”のお仕事がめっきり少なくなりました。頻繁に求人サイトなどを覗いている方は実感できるのではないでしょうか。これは、女性活躍推進法や1臆総活躍促進法なども関係し、女性も原則フルタイムでしっかり働き、納税義務・社会保険料支払い義務を免れることができない/させない時代になってきているからです。最近では扶養制度自体を廃止すべきとの論すら出ています。

しかし、だからといって「じゃあフルタイムで…」とはいかない方々もいます。育児中の女性など国が何と言おうが無理なものは無理なのです。ということでフルタイム勤務者は就業するのが比較的楽だった反面、扶養内希望者は苦戦した年だったと思います。中には諦めることを選択した方もいることでしょう。お会いした多くの主婦・ママさんは、「週23日の事務のお仕事が求人サイトなどからなくなりました」と嘆いていました。逆に、「週23日のお仕事があるからオフィスタに来ました」という方が大半だったように思います。企業側の声としても、大手の派遣会社に依頼してみると「フルタイムしかウチはやりませんから」と断られてしまい引き受けてもらえるのがオフィスタだけだったという意見もよく聞きました。

これらのことから、扶養内勤務にこだわる女性を応援し、育児者を求める企業の発掘&マッチングで就業の機会を作るという目標は、同業他社に比べても一定以上の成果が上げられたのではないかと思っています。

 

次に2019年は、派遣料金の高騰を予想しました。また、これまでのように時給を上げれば人が来たという時代は終わりを告げ、どれだけ求人広告費をかけられるかがポイントになり、人材を採用しようと思ったら広告代理店への出費がかさむだろうとも予想。オフィスタは派遣会社なのでこの広告費を負担しますと宣言しました。

 

結果的にはどうだったでしょう。消費増税は派遣業界に限った事ではありませんのでここでは考えないものとして、業界平均的に見れば派遣料金は急激に上昇というよりも緩やかに上昇したというイメージのようです。

同一労働同一賃金制度が派遣料金を圧迫するのではないかと思いましたが、昨年大きな動きは見えませんでしたので今年の派遣法改正でどうなるか注目したいところです。同業他社の料金は知りませんので、求人サイトが所有するデータ資料から考察すると、2018年の派遣料金「時給23002400円」が2019年は派遣料金「時給25002600円」に100200円程度上昇しているようでした。たかが数百円と言えども1時間あたりですから年間1人当たり2540万円上昇したことになり意外と大きいです。オフィスタは2019年も3年連続で派遣料金据え置きを実施、扶養内勤務で「時給千円台」を実現するという高パフォーマンスは企業に歓迎されました。

 

一方で、広告費は労働人口減少・人手不足を背景に広告業者が続々と新規参入してきたためか過当競争になり割安になった感がありました。もっと高騰するかと思ったのですが、コンビニなど「もう多大な広告費は無理」といっそ事業自体を縮小する自虐行為傾向になってしまったため、広告業界にとってはアテが外れ顧客数は獲得できなかったのではないかと思います。求人企業にしてみれば広告費が安いに越したことはないので良かったというべきでしょうか。ただ、そうはいっても1回掲載するだけで数万~数十万円かかり、反応は微妙という状況は昨年通り。ハローワークから良い人を採用したという話はもはや企業から聞くことすらありませんでした。

 

③次に2019年は、あれもこれも何でもできるスーパーマン労働者を発掘する思考では人材獲得はもう難しい時代で、20代が敬遠され始め、これまで建前だった年齢不問が「本当に年齢不問」になるかもしれないので、年齢が上の方にとってはチャンス到来の時期が来るかもと予想しました。

 

結果的には20代が敬遠され始めというよりも「市場に20代の求職者がいない」状況になってしまいました。少子高齢化なのに新卒の大部分を大企業がゴッソリ獲得してしまったため中小企業に回る余裕もありませんでした。統計を取ったわけではありませんが、2030代と4050代の応募比率は、2018年が46だったのが、2019年は37の感じでした(当社人事担当者の体感ですが)。中高年齢者が学生向けアルバイト求人サイト等の利用も目立っていたので、手当たり次第に応募ではなく、ご自身に合うサイトの活用を奨めたいところです。

但し、全年齢帯でスキル低下が顕著で、PCに弱い(または所有すらしていない)者も増え、日常生活でのスマホの浸透が悪影響を与えていることは想像に難くないでしょう。求職者のPCスキルは年々確実に落ちています。

 

④会社に忠実な労働者とそうでない者、人柄や思いやりや気遣い、勤怠評価などが一層重要視され人事評価差が生まれると予想しました。

 

結果的にスキル以外で評価するとしたら勤怠と人柄が基準になるのは当然ですが、子供の急な病気での欠勤などに対する企業側の配慮が増したのに対し、「先日休んでしまったので今週は無理して多めに出よう」などギブ&テイクというか“会社のためにという想い”が強いスタッフが特に重宝されたように感じます。人柄というと愛嬌・愛想を指していたのが、愛社精神や定着率に変化してきているように感じました。これは、労働力不足・人手不足の時代背景だからこそ、会社の事を考えてくれる労働者は手放したくないという企業側の心理でしょう。

 

今回前編では2019年の振り返りを取り上げましたが、次回後編では2020年の雇用動向予測を取り上げてみようと思います。(後編につづく)

 

(参考)オフィスタNEWS第140号(R2.1.15発行)特集「2020年の雇用動向の予測と考察(コラム)」

 

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