第421話「TRUMP」 | OFFiSTA オフィスタ・ブログ

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はたらく女性/育児とお仕事がメイン・コンセプトのハケン会社オフィスタです。
ここでは派遣のお仕事についてハケン会社の立場から日々思ったこと・感じたことを綴ってみるWeeklyコラムです。

 今から約25年ほど前になるが、わたしの手元に1冊の本があった。タイトルは「交渉の達人トランプ」というドナルド・トランプの伝記的な成功物語である。当時大学生だった私が何故この本を書店で手に取ったのかわからないが、憧れを受けたのは事実である(仕送り貧乏学生にとってはかなり大枚を叩いて買った記憶がある)。総資産3800億円を持ち、マンハッタンに世界一豪華なビルといわれるトランプタワーを建て、アトランタシティにはカジノ兼ホテルであるトランプキャッスルを建て、自宅は110室の部屋数を有し、自家用ボーイング機を所有する若きアメリカの不動産王として日本でも既に知られた存在ではあった(当時公開された映画グレムリン2のクランプ氏は彼をパクったものであるのは有名。結構好きな作品である)。ただ、私はこの手の成功者の自伝書が大嫌いである(成功した者は何でも言えるだけでそれが正当性があるとは思えないし、真似しようとも思わないからである)。成功者の自伝書なるものを購入したのは人生で後にも先にもこの1冊だと断言できる。今でも何故か古本屋に売られることなく私の書棚にひっそりと眠っているこの本だが、今また米大統領選でこの人の名前を思い出すとは思わなかった(何故今頃になって再び表舞台に出てきたのかという気もするが)。

 当時大学生だった自分にとって頭が痛かったのは就職活動である。たいして学業の成績もよくなかった私は進路すら考えられず、周囲の友人がリクルートスーツを纏い始めた頃になっても将来が全く見えてこなかった。とりあえず大手企業であれば手当たり次第に応募している者もいたが、興味がない業種に就職しても飽きっぽい自分ではどうせ長続きしないことはわかっていた。そもそもなぜ働くのかさえよくわからない甘ちゃん学生だったように思う。そんな先が見えないモヤモヤもあってか書店で偶然手にしたのがD・トランプの伝記だった。どう就活したらコイツのように成功できるのかヒントがとにかく欲しかったのだろう。最初は只の金持ち自慢本としか思えなかったが、憧れをもったのは事実である。自分もやってみるか!と不動産業界を目指したのは正にこの時である。そうと決まれば宅建も取得した。既に日本でバブルははじけていたが、業界はまだまだ狭き門だった。運よく大手企業に拾われ都市再開発事業を数年手がけるうちに気が付けばイチ会社員になっていた。この頃には家に帰っても寝るだけの生活でトランプのことなどすっかり記憶から消えていた。次第に現場で多くの人を管理する魅力に取りつかれ人事部署に移転し、人事管理中心の生活にシフトした。長年の人材関連業務の経験があったからこそオフィスタという人材系会社に今こうして勤務している。人生なんて1本の道で繋がっていると思うが、運命に導かれて自分は今オフィスタという会社にいる。

 米大統領選でTV・ニュースで最近しきりにトランプの名前を見聞きする機会が多く、20年以上すっかり忘れていたその名がまた脳裏に蘇った。衰えた容姿からはかつてのハンサムな超一流のビジネスマンの風貌はすっかりなくなり残念だが情報化社会を上手く使っている様は相変わらずのようで懐かしい。もしトランプが大統領になると日米関係が難しくなるなど言われていますが、実際大統領の権限で彼が言うようなことを全て実現できるとも思えないので、個人的には楽観視しているところはあるが、私はビジネスと政治は違うので経営者が政治家になるという構図は感心しない性分である。メディアに彼が出るたびに20数年前の記憶が蘇るので、できれば見聞きしたくないのですが・・・。今思い起こすと結局、彼の存在によって私の人生の分岐点は確かにあったかもしれない、が現在は私自身で作った人生だと自負がある。そんな複雑な感傷が面倒なので自分で記憶から彼の名を消したのかもしれない。私も人にお仕事を紹介することを生業としている以上、人の運命の分岐点に毎日立ち会っている身です。しかし、私が人生の分岐点を提供した人にしてみれば、いずれはオフィスタや私の名前なんか記憶から消したくなるのかもしれませんしね、人生を築いたのが自身だという自負があればそれも当然だと思います。あの日、一冊の本を手に取らなければ私は今日こうしていなかっただろうし・・・なんて考えてしまいます。誰にでも人生の分岐点は必ずあっただろうし、分岐が違えばみなさんも今日現在の日常はないでしょう、つくづく運命や出会いは不思議なものだと感じます。

 ちなみに20数年前のその本の最後にはこう書かれていたのを覚えています、「D・トランプは未来の大統領になるかもしれない男である」・・・と。悔しいですがやっぱり憧れますね、こういう人には。

 

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