前回2015年の振り返りに続き、今回は2016年の雇用動向予測です。
【2016年の雇用動向予測】
①派遣料金の高騰が第一に予想されます。月~金フルタイム勤務を希望する者の派遣離れで取り合いが予想されるため派遣会社各社は人材獲得のために時給上昇の傾向。人材確保のために広告宣伝費用も一層膨らむであろうことから、総体として派遣料金は全国的に昨年よりも大幅に上がるであろう。都心部のフルタイム事務職の平均時給が昨年は1,300~1,400円で推移したが、中には時給1,800~2,000円を謳った派遣募集広告も頻繁に目立った(派遣会社各社がいわゆる“時給で釣る“状態に入ってきたことを意味する)。社会保険料も相変わらず上昇の一途であるためこれらも勘案すると、派遣料金が2,500~2,800円/h程度まで各社平均上げてくると思われる。派遣法改正の余波は派遣料金の上昇という形でまずは影響してきます。逆に言えば、このくらいの時給額を提示しなければ優秀な人材は派遣会社といえども確保できない時代になったということである。なお、オフィスタは週2~3日勤務を中心に運営している派遣会社であり、これらの波には影響されないため、今年も派遣料金・時給額ともに横ばい・据え置きの方向で考えていますので企業にとっても、扶養の範囲内で働きたい労働者にとっても安心頂ければと思います。
②スキルが重視される派遣時代に戻るであろうということ。人材派遣というのはそもそもは“能力のある人材が、それに見合った対価で労働するワークスタイル”を言います。この構図が崩れたのは1999年の派遣法改正で自由化業務が、2004年に製造派遣が解禁されたことに由来します。いわゆる派遣バブルといわれる時代で能力よりも派遣会社に登録すれば仕事が回ってくる、時給は従来通り高いままという、派遣が一種の流行でありステータスだった時代がありました。当時の小泉政権下では雇用率低下の回復が重要課題であったため、これはこれで一定の成果はあったと思います。が、この傾向は企業側にしてみれば必ずしも満足いくものではなく、又バブルと聞きつければ新規参入する派遣会社が増え次第に各社で値引き合戦が勃発。派遣料金の値引きは、当然労働者の時給下落とそれに伴い質の低下を招いた。ここに現在の格差社会の元凶がある。本来、派遣社員は正社員よりも高給取りで、当然正社員以上の能力を有するものという定義が崩れたわけです。しかし、先の派遣法改正で専門26業務は撤廃され、全員横並びの状態で能力値の高い者ほど仕事を得ることができ高給を取ることができる。能力値のない者はいくら派遣会社に登録しても仕事はそうそう回ってこない、回ってきても能力相応の時給になると考えられます。ある意味で派遣本来のあるべき姿に原点回帰する年になりそうです。
③派遣が雇用の中心を担う年になりそうである。その1つがハローワークの雇用調整困難にある。昨今では求職者はネットやスマホで仕事を探すのが主流です。スマホが使えない高齢者がハローワークを利用するため、企業担当者からは「ハローワークに募集を出しても高齢の方しか応募が来ない。やはりお金をかけて求人サイトや派遣会社に依頼しないと難しいと思った。」という意見はよく耳にした。逆に人材を紹介した企業担当者からは「人材の質からみて、やはりプロに頼んだ方が手っ取り早いとわかった。」という声も多く聞きました。求職者側もハローワークは無料で求人募集が出せることを知っているため、「有料サイトなどへの広告をケチっている会社・時給が安い・ブラック企業が潜り込んでいる」という負のイメージもあり好意的に利用されていない。ネットやスマホ時代の流れもあるだろうが、昭和時代を支えたハローワーク(職業安定所)という組織がその役目を終えようとしている時期のように思う(労働局も昨年から民間の派遣会社へ情報提供を始め民間へシフトの意向)。こうなると台頭するのは求人広告媒体業界であるが、企業としては応募があるかどうかわからない広告に費用をかけるよりも紹介予定派遣制度を使った派遣活用を通じて人材確保に今年も興味を示しそうである(派遣の場合、広告費用は派遣会社が負担するため)。
2016年、企業は人材の質の向上が見込まれ自社採用よりも派遣を上手く使うことで優秀な人材確保がしやすい環境が生まれそうです。反面、派遣料金は上昇傾向が予想されるため能力値を重視するか費用面を重視するか、はたまた週2~3日勤務希望の主婦・ママさんを活用することでその双方を解決するか等の選択肢にもなりそうです。労働者にとっては“はたらく女性が活躍”できる年になって欲しいと願っていますが、昨年のワークシェアに興味を示す企業が急激に増えた傾向からみても、企業側からすれば人件費と定着率を備えた主婦・ママさんは特に需要があることは必然で今年は雇用の中心になりそうです。企業にとっても、はたらきたい女性にとっても、互いに良いご縁ができるようにオフィスタも努めたいと思いますのでどうぞ宜しくお願い致します。(オフィスタNEWS第92号抜粋)
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