社員に過酷な労働を強いる「ブラック企業」対策で、厚生労働省は来年度からハローワークを通じて大学生や大学院生を採用する企業に対し、離職率の公表を求めることを決めたそうです。大卒・大学院卒らに向けた求人票から、過去3年間の採用者数と離職者数の記入欄を設けるというもので、記入は強制ではないが「空欄のままだと公表できないほど離職率が高いのではと見られる」抑止効果が期待できるというのが狙い。ブラック企業は早期退職が続出することを見越して若者を大量採用するのが特徴で、離職率は有力な判断材料の一つになります。
しかし、離職率=ブラック企業とは言い切れないのが現状です。なぜならば現在の新卒で3年間勤務し続けられるのは約半数とも言われているからです。離職率よりも定着率を公表した方が良いのではないかと思っていますが・・・。数年前からブラック企業という言葉が出回っていますが、イマイチ定義がよくわからないという問題があります。元々は常軌を逸脱した労働環境の企業を指していたのが、最近では「毎日30分残業があるので、ブラック企業だ」とか「うちはボーナスが出ないのでブラック企業だ」なんて会話を電車の中で耳にします。つまり、自分にとって不満があればブラック企業と呼ぶのがなんとなく一般化・総称化しているみたいです。社会とは何か、会社とは何か、働くとは何かを真剣に考える人が少なくなり、徐々に労働者の質が低下しているのを実感しますが、ブラック企業の何十倍ものブラック労働者が実在するのも事実です。
「楽な仕事で人より多く稼ぎたい、且つ有名大手企業で賞与が6カ月以上支給されて、残業がなくて、ミスしても叱られる事無く減俸解雇が絶対無くて、忙しいのは嫌だが暇なのも嫌、ノルマがなくて、難しい仕事を覚えるのは嫌だがスキルにならない仕事も嫌、やりがいがあって人間関係が良くて休みが取りやすく、夏休みが多く、家から通勤20分くらいで、朝はラッシュを避けたゆっくり出勤の会社を探しています。」なんていう方は普通にいます。この条件にそぐわない会社は恐らくこの人にとっては「ブラックだ!」になるのでしょう。少しでも気に入らなれば辞めればいいや、程度で就活をしている人が多い中で離職率を基準にブラック企業の指針を図るのは無理があるような気もしますが・・・。
雇用主と労働者の間のことは法律に準じて判断すべき事項であるのだから、実際に法令違反があるのであればそれを国は公開すればいいと思うのですが、なかなか難しいのでしょうかね。多くの会社・多くの労働者を見ている私としては、離職率が高い原因が会社にあるのか、労働者にあるのかを公表することも大事なことだと思うのですが・・・。(出典・参考:読売新聞)