日本の若者(24歳以下)の失業率は8%を超えているそうです。全世代失業率が5%弱なのに比べると割合的に多い。先日も少し書いたが、このご時世にやっとのことで就職しても3割近くの新卒が入社1年未満で辞めているとニュースで報じられている(オフィスタ・ブログ第199話参照)。簡単に職を辞めているといくら若者だからといってもそうそう次の就職先は見つからないということを意味しているようです。ただ、それだけでは8%という数字は出てこないだろう。年齢が高い者よりも若い者を雇いたいというのは今も昔も企業側からしたら当然のことなのだから。
この原因のひとつには解雇規制が挙げられる。日本には終身雇用なる言葉があるように社員をクビにすることに対して企業側に重く負担がのしかかるようにできている。日本の会社組織というのはアメリカのように結果が出せなければ即日解雇もありえるようなドライな関係ではない。昭和時代の名残かもしれないが「社員はファミリー」的な情念感覚がやはり日本には根強く残っているのかなと思います。先日マリナーズのイチローがヤンキースへ電撃トレードしたが、イチロークラスでも結果が出せなくなれば放出されるわけだが、日本人感覚としては「長年こんなに頑張って貢献した選手をアッサリ手放すなんてひどいよな」という方が多いのに対して、アメリカでは過去にどんなに結果を出していても今結果が出せないなら別の者で補強した方が良いとトレードをドライ&ポジティブな感覚で捉えます。
この日本人特有の感覚は、長年勤めてくれている社員を解雇することがしにくいように作用する。不況で経営状態が悪化しているにも関わらず、社員を減らせないとなると、企業は“入り口”で人を絞るしかなくなる。結果が出せなくても居座ることが出来るなら、このご時世に自ら職を手放す中高年はまずいないだろう。正規雇用されれば終身雇用というのが日本の仕組みだった。ある意味、労働者を守る盾だったわけだが、今現在結果としてこれが若者の就職を遮る壁にもなっている。すでに職を得ている人の既得権を守るのか、新たに社会に出る人に機会を与えるべきか、ここに終身雇用と新規入社のパラドックスが発生する。
ちなみに日本同様に解雇規制が厳しいといわれている国を見てみると、若者の失業率はフランス22%、イギリス19%、ギリシャ・スペインにおいてはなんと50%を超える。日本の8%を多いと思うか少ないと思うか、今一度このパラドックスを考えてみるのもいいかもしれませんね。
(参考文献:R25編集部記事)