最近何かと「〇〇満足度第1位」という売り文句を見かける機会が増えました。派遣業界では昔から使われているセールス文句なのですが、様々な業界でよく見聞きするようになりました。いまどきこんな謳い文句を信用する方はまずいらっしゃらないかと思いますが、素朴な疑問として“第1位”が何故こんなにもうじゃうじゃあるのかということです。そしてもう1点は、調査対象となる顧客が何人なのか分母が不明な事です。アンケートをした顧客が3人だとしたら少なくとも2名が手を挙げれば必然的に第1位になってしまいます。消費者は勝手に何百万人もの人にアンケートを行った結果なのだろうと想像しているのかもしれませんが、分母が公表されていない以上、何人に対して調査したのかは不明ですよね。この手法を使えばどんな企業でも満足度第1位を名乗ることができてしまいます。
オフィスタではさすがにこんな恥ずかしい謳い文句は書く気にもなりませんが、先の年金基金消失問題となったAIJ投資顧問も「満足度業界第1位」の謳い文句で多くの企業が信用してしまったそうですが、よくよくみると「2009年度」に第1位だったのを2012年においても平気で使用していることが発覚しています(正確には下の方にすごく小さく“2009年度調査”と明記されているそうですが)。つまり2012年の顧客満足度第1位はAIJではなかったということです。このように一度でも第1位を取ると永久的に「第1位」であることを謳い文句に書き続けるため、右も左も第1位だらけになってしまっているというわけです。一部業界では毎年持ち回りで順番に第1位を回すシステムもあるそうで、いかにも業界関係誌などがこぞってビジネスにしそうな手法ではあります。そもそも消費者自身も顧客満足度調査の実態自体がよくわからないのが現状なのに、まるでアカデミー賞でも獲得したかのように、すごい栄冠のように聞こえてしまうのが怖いところですね。
某食べ歩きナビ・サイトのように架空の人間が架空の評価で企業の株を上げるような操作がまかり通る現在で、顧客調査の類に信用性は皆無です。同時に周囲の人が良いと感じているならば自身も追従しよう、とりあえず他の人に付いていっていれば大丈夫だろうという国民の希薄な感覚が生んだ虚像の言葉こそ「〇〇満足度第1位」だと思います。胡散臭い文言ではありますが、現実に信憑性を植え付けられてしまう方もいらっしゃるわけですから、消費者の方々は「満足度第1位」は同時に「不満足度も第1位」だというくらい極論の気持ちでキャッチしておいた方がよさそうですね。
最後に一言付け加えておくと、どんな業界であれ本当に満足度が高い真の企業というのは“自ら私は顧客満足度第1位なんです、などと順位を持ち出して自画自賛をするようなことはまずしない”ということを覚えておきましょう。本当に顧客が満足してくれているならわざわざそれを1位だ2位だと騒ぐ必要性もないわけですからね。