今日は、黒木渚がこの頭蓋骨を手に入れるまでのお話をしましょう。
ひょんなキッカケで鹿の剥製に興味を持った黒木渚は、ある日スタッフの実家に本物があるという話を聞いて見せてもらいに行く約束をしました。
鹿の剥製というのは、クビから上だけが壁からぬっと突き出している例の壁掛けのことです。見たことあるよね?
しっかりと見た事が無かったので、日光にあるスタッフの実家まで押し掛けて(ついでに観光もしたいなと思って)行きました。
日光ってなんだか不思議な立地なんですね、山道をぐんぐん上って行くと突然スパンと視界が開けて街が現れた。
当日は、深い霧が立ち込めていた事もあり、山道はB級ホラーな風景でした。
実際に見せて頂いた鹿は、とてもハンサムな顔立ち。
ウフフ、と微笑みかけて来そうな陽気な表情でした。
すると、この剥製を実際に作った職人さんが宇都宮に居るという情報が。
渚「よし、行きましょう!!」
日光の白鳥ボートに乗るのを速攻で諦めた黒木渚。
職人さんにアポを取ると、快く作業場を見せて頂けると返事を頂き、すぐさま宇都宮に向けて出発。
作業場の扉を開けると、ここでも鹿の剥製がお出迎え。
その他、山鳥やイタチや様々な動物が沢山。
興味津々で、作業の行程などを質問しまくる。
「お嬢さん、そんなに好きなら裏も見て行くかい?」
うおおお。何だか死亡フラグをうっすら感じるセリフ(笑)
B級ホラーだと、このまま裏に連れて行かれて私も剥製にされてしまうんだろうな、とか思いながらも好奇心を押さえられずに付いて行く。
裏には、狐やウミガメ、しまいにはコリー犬まで・・・。
職人さん「ペットはね、死んでしまった瞬間はそのままで残したいと思う人もいるんだよ。でもね、結局姿だけが残ってしまうのがつらくなるんだろうね、剥製が出来上がっても引き取りに来ない人が多くてね。だからこうしてここで保管しとくんだよねえ。」
剥製を作る目的は依頼者それぞれ。だけど身近な存在を失った悲しみは「形」だけでは埋められないこともある。むしろ形が残るほど、かえって悲しみが鮮明に残り続けるという場合もあるのですね。
職人さん「もっと見たいなら、コレクターの人を紹介してあげよう」
なんと、剥製収集の趣味が高じて、個人で博物館を作ってしまった方がいらっしゃるのだとか。
渚「よし、行きましょう!」
即決。
博物館は個人で建てたとは思えないほど大きく、しかも展示されている剥製の数にびっくり!
おびただしいと言う方が正しいかも知れない。特に野鳥の数は日本有数の展示数だそうで、スズメみたいな身近な鳥からコウノトリまで何百羽もありました。
ほ乳類もありました。ここでは鹿の完全版「雄・雌・子鹿」コンプリート。そして熊もツキノワグマからシロクマまで数体。
ニホンオオカミも居ましたが、オオカミってすんごい大きいんだね。
渚「どうしてこんなに剥製収集にハマっちゃったんですか?」
館長さん「いやー、殿様に憧れてねえ、鷹狩りとかやってみたかったんだけど、鷹は飼えないってことでね、剥製を買ってもらったんだよ。鷹の。生きてるみたいで美しくてねえ。それでハマっちゃったの。はははは!」
他にも昆虫の標本なんかも沢山展示してあり、夢中で見学しました。
帰り道、奇妙ながら何故か心惹かれる剥製達の世界観を引きずりつつ宇都宮の餃子を堪能。うまし。
膨大な数の剥製達に触れたこの一日、私の死生観にも色んな影響を及ぼすことになるであろう一日、別れ際にスタッフさんが
「はい。お土産。」
鹿の頭蓋骨くれました。立派な雄鹿です。
部屋に戻るととりあえず鹿に向かって「ただいまー」という日々を過ごす私なのでした。
![鹿の剥製](https://stat.ameba.jp/user_images/20141101/22/officialkuroki-nagisa/37/bc/j/t02200293_0800106713116272472.jpg?caw=800)