Blogを書けと言われたので「HXSTOMPをモバイル的に運用する その2」の話。

 

 

 

 Blogを書けと言われたので「HXSTOMPをモバイル的に運用する その2」の話です。

 さて、少し前に「Blogを書けと言われたので HXSTOMPをモバイル的に運用する」という内容で書きました。

 

 

 

 この回は「如何にして持ち運びが楽になるか」を重視した内容になっています。

 楽器本体、ケーブル、HXSTOMP、小物だけにしちゃえ! ってことですね。

 あとはPAへ送るか、現場にあるアンプのセンドリターンへぶっこむか、と。

 

 なので、このエントリを目にしても具体的なプリセットの組み方などを説明していません。

 今回はそこに焦点を当ててみたいと思います。

 ……機材に詳しくない人間が書くので、期待しないように。

 そもそもわたくし、本業は作家/小説家/物書きです。ええ。そうなんです。

 話半分に聞くのが肝で御座います。御容赦あれ。

 

 

 

 

 ギタープロセッサ、現場でどう使う?

 

 

 ギタープロセッサを現場で使う場合、大事なのは繋ぎ方です。

1)PAへ直繋ぎして、ギタープロセッサで作り込んだサウンドそのものをアウトプットする。

2)PAとステージ上のアンプへ繋いで、内音・外音としてアウトプットする。

3)ステージ上のアンプへ繋いで、マイキングして貰う。

 ライブで使うなら、こんなところでしょうか。

 

 リハスタなどでバンド/友人達と遊ぶなら、置いてあるアンプのセンドリターンへ繋げば良いです。或いはアンプで音作りして、ギタープロセッサはエフェクタとして使うのもあり。

 

 ともかく、ギタープロセッサがあると柔軟な対応が出来るわけです。

 

 

 

 具体的繋ぎ方。

 

 

 HXSTOMPの場合、インプットとアウトプットが複数用意してあります。

 

 ※こんな感じ。見やすいようにアンプヘッドの上に置いた。

 

 

 基本的に「インプットはL、アウトプットもLから」です。

 アウトプットはHXSTOMP本体ボリュームが効きますのので、好みで調整。とはいえ、最初はゼロから始めて下さい。これ大事。

 

 アウトプットは

・PA(FOH/フロントオブハウスのコントロール)側

・アンプのリターン側

・或いはPAとアンプのリターン両方同時に

 繋ぎます。

 ただ「PA+アンプのインプット側へエフェクトのみ」の場合、PAはアウトプットから、アンプのインプットはHXSTOMPのセンドから繋いで下さい。

 この辺りはHXSTOMPマニュアル参照がお勧めです。

 

 

 

 

 アンプ側へは?

 

 

 アンプのリターン側へ繋ぐ際の具体的ルーティング/プリセットについて、ここでは説明していきます。

 

 

 ※BOSS KATANA-HEAD MK2 の各種端子。

 

 基本的にエフェクトループのリターン側へ繋ぎます。

 HXSTOMPのリターンさし で検索すると詳細は出てきますので参照下さい。

 ここで気をつけないといけないのは、HXSTOMP側のアウトプット設定。

 アウトプットを「Inst」へ変えましょう。「LINE」出力ではないので(PA/FOHはLINE)。

 そして重ね重ね書きますが、絶対にHXSTOMP側のボリュームはゼロから! これ大事。

 

 アンプのリターン側へ接続すると〈アンプのプリ部を回避し、パワーアンプに直差しされる〉わけです。なので、音量はHXSTOMP側のボリュームで決定することになります。

 が、機種によってはいろいろ違うようで……。

 だから今回はKATANA-HEAD MK2での話になります。

 

 KATANA-HEADMK2の場合、リターン側へ繋ぐと内蔵された各種エフェクトが使えます。

 音量はマスターボリュームが効きますね。

 フットスイッチなどがあったら、アンプ本体/HXSTOMP側のエフェクトを多数切り替えられそうです(リターンさしのケースだと、プリセットにキャビブロックが要らないので、その分他のエフェクトが置けるわけです)。

 また、こういったケースだとMarshallなどのフルチューブアンプよりトランジスタタイプがよい結果を生むらしいので、KATANA-HEAD MK2はその点でもよいチョイスかも。

 

 

 ※KATANA-HEAD MK2、リターンざしだとエフェクトブロックが使える。

 

 

 

 

 リターンさしのための、プリセット。

 

 

 リターンさし用のプリセットを組みます。

 えっと、これも BOSS KATANA-HEAD MK2用 だと思っておくんなさい。

 

 パワー部へぶっこむので、基本〈プリアンプブロック〉のみにするのがポイントです。

 アンプブロックにすると思ったサウンドになりません(後述)。

 あと、リバーブやディレイはKATANA-HEAD MK2 側で設定できるので、他のエフェクトを加えます。例えば、歪み系を複数なんて如何でしょうか? プリアンプをFender系にして、ファズ、オーバードライブ、ブースターなどを用途によって踏み分ける、或いはスナップショットでコントロールすることも可能です。

 もちろんEQ系のブロック他を加えてみるのも一興です。

 考え方として〈実機アンプのインプットへ、直列配置するような構成にする〉のがポイントかも。

 

 

 ※歪み系3種にプリアンプのみのプリセット。

 

 ※こちらはコーラスを加えてみたもの。ルーティングで効きを和らげている。パラメータ弄ればパラレルにしないてもOK。

 

 

 

 しかしお勧めはパワーアンプ。

 

 リターンさしを試してみると「え、良いじゃん良いじゃん」になります。

 グローバルEQなどを活用したら現場調整もスムーズですしね。

 リハーサルからライブまで使えるサウンドだと思います。

 

 で、次にKATANA-HEADMK2 のパワーアンプINにインプットしてみたんですよ。

 ……え、こっちの方が良い感じ?

 ギタープロセッサに適しているのはパワーアンプINかも知れません。

 

 当然パワーアンプINもプリ部をキャンセルしてパワー部へ信号が入るのですが、アンプに備え付けられた各種エフェクトは一切効かなくなります。

 単純にマスターボリュームで音量を決定するのみです(とか言いつつ、パワーアンプ部に対しプレゼンスは効きます。もし全帯域にもうちょい張りを、と思ったらプレゼンスも使って下さい)。

 そのお陰か、意図した音作り/プリセット作成がやりやすいように感じるのです。

 〈エフェクトを直列接続し、アンプインプットに直繋ぎ〉に近い感覚でルーティングできますしね。エフェクトはプリアンプ手前でも、後ろでも自分の好みになるよう設置、がお勧め。

 

 

 ※ハイゲインアンプのプリアンプブロック。EQやエフェクトをプラスで。

 

 

 ※こちらはMarshall系。しかし……(後述)。

 

 

 

 プリアンプか、アンプか。

 

 

 さて。ここから大事な話。

 リターン/パワーアンプIN時は、プリアンプブロックを選ぶのが基本です。

 アンプブロックを置くと、パワーアンプ部分も含まれるため出音がボワついて音の分離が悪くなります。俗に言うヌケて来ないサウンドってところでしょうか。

 

 が、Marshall的構造のアンプ(プリ部だけではなくパワー部で歪ませるようなタイプ。LINE6はアンプの構造ごとモデリングしているっぽいです。スゲエ)だと、プリアンプブロックのみにした場合にペラペラな音になります。てか、なりました。

 ならばとプリ/パワー両方が揃っている〈アンプ〉に切り替えてみましたところ、一瞬「あ。これでいいやん」になります。音に厚みが出た感じなので。

 が、やはりヌケないサウンドになっちゃうんです。これは困った。

 対策は〈アンプブロックにして、各種パラメータから低域をカット+EQなどによる補正〉をカマす事……と言いつつ、他にもやりようがある気がしないでもないんですけどね。

 

 これはまだ試していないのですが、プリアンプのみにしてから前段に歪みブロックを置く、なんてのもアリかも。ゲインアップ+トーン調整目的で。

 

 あ。あと自分が使いたいアンプを〈プリアンプ/アンプ〉で順に入れ替えながらサウンドチェックすることをお勧めします。トライアンドエラーってことですが、結果的に自分好みのトーンになればいいわけですし。

 

 そう言えば、Fender系をプリアンプで置いたところ、結構好きな音になりました。クリーンもハリがあってよし、クランチも気持ちよい。いやー、これは発見。

 

 

 

 キャビネットについて。

 

 リターンさしでもパワーアンプINでも、キャビネットブロックは置かないようにするのがポイント。

 キャビブロックありだと、ノイズ塗れのおかしなサウンドになります。

 何故かと言えば、スピーカーとして実キャビネットが外部にあるわけです。それなのにキャビブロックを置くと〈キャビネットを通してマイキングした音を再び外部キャビネットで再生させる〉ことになります。そうなると意図しない帯域が出たり、ノイズをマシマシにしちゃう。当然と言えば当然の話っていうね。

 もちろん、このようなトーンを狙うならよいのです。ヘンテコなサウンドとか。

 そうではない場合、キャビブロックはカットしましょう。

 

 ……って書いていて気付きました。

 これじゃアカン!

 例えば「プリアンプ或いはアンプブロックのみ」を内音としてステージ上のアンプへ、「アンプブロック+キャビなど」を外音としてPA(FOH)へ送るとしたケースだと問題が出ます。

 よく考えてみると、それぞれを別々にルーティングした後、2ルートで送らないと成り立たないことになるからです。

 うむ。あ、でもこんな方法もあるみたいですよ。下の画像参照。

 

 

 

 このように2系統の出力にして片方をキャビありにする、とか。

 とはいえ、単純な方法を選ぶなら〈アンプへリターンさしorパワードアンプ経由で出した内音をマイキングして貰う〉のがよいかも知れません。

 ていうかー、Helixなら外部への複数出力を簡単に分けられる(パラレル出力)可能なので、苦労はしないのです。が、今回は軽量化前提のHXSTOMPだからなあ。

 悩みどころです。

 

 

 あ。キャビネットの話ついでに。

 実はリターンさしだろうが、パワーアンプINだろうが、最終的な出音は〈実キャビネットに依存〉します。

 なので、 8インチのシングルスピーカーを持つキャビネットと12インチ2発のキャビネットだと、音の傾向が全く変わります。もちろんオープンバックとかクローズドバック、置き場所とかも重要ですしね。

 わたくしは12インチ×1発と12インチ×2発(両方クローズド)でテストしましたが、それぞれによさがありました。もちろんライブの現場に12インチ×4発があったらそれを使いますから、また違うサウンドになるでしょう。

 だから現場でリターンさしやパワーアンプINをしたとしても、用意してあるキャビネットに合わせてプリセットの微調整+グローバルEQで対応する必要が生じます。

 

 

 

 KATANA-HEAD MK2をパワードアンプとして使う。

 

 

 今回、KATANA-HEAD MK2を使って「リターンさしよりパワーアンプINのほうが好み」だと書きました。それもそのはず。

 BOSSは〈KATANA-HEAD MK2をギタープロセッサのパワードアンプとして使う〉ことをかなり重要なポイントして設計しているようです。

 現代ではギタープロセッサで設定したサウンドを再生させるパワードアンプ+スピーカーの需要が高まっていますよね? 各メーカーから関連商品がいろいろ出ていることからもそれは分かります。

 BOSSもそのトレンドは抑えたのでしょう。

 KATANA-HEAD MK2は〈パワーアンプINを通したとき、アンプ側の色づけを極力削った設計〉をしているように感じます。これはギタープロセッサ側のトーンを邪魔しないようにしているからだと思われます。

 

 そんなKATANA-HEADMK2 ですが、ワット数(本機は出力ワットを0.5、50、100Wから変えられる仕様)とマスターボリュームで出音がかなり変わります。

 0.5、50、100W、それぞれテストしましたが、一番よい音だと感じたのは〈100W+12インチ×2発でマスターボリュームを環境下の限界まで上げる〉でした(キャビネットの対応ワット数に注意。これを間違えると問題が起こります。キャビが50Wまでか、100Wまでかなど要チェックです)。

 もちろん〈0.5WでKATANA-HEAD MK2の内蔵スピーカーでボリュームは最低限〉をチョイスしてもOK。現代の住宅事情を鑑みると、自宅で使うならこれが現実的です。

 ええ。100Wで12インチ×2発とか、ボリュームを上げられません。……一瞬だけグイッと上げてみましたけれど。嗚呼、100W最高。

 

 ん?

 でもHXSTOMP側のボリュームの兼ね合いでもこの辺り変わるんだろうな。

 そこまでテストしていないので、近々やってみよう。

 

 

 

 

 

 ライブでの最適チョイスは。

 

 いろいろダラダラ書いてきましたが、結論として〈ギタープロセッサ側はプリアンプをメインにしたプリセットを組み、パワーアンプINへ入力。キャビネットを繋ぐ〉のが一番よいはず!

 ハイゲインでもFender系でもこれが一番好きなサウンドになりましたから。

 

 もちろん、プレイヤーごとに好みはあるので、実際にいろいろ試して頂くことが肝要です。

 それにリターン端子さしをしないといけない状況もあるはずで。

 そもそもセオリーなんて無視したっていいんです。

 今回のエントリは単なるわたくしの備忘録+ちょっとした実地検証でしかありませんしね。

 

 なので是非、リターンさしもパワーアンプINもお試し頂きたいところです。

 やはりリアルキャビネットから押し出される空気の振動は素晴らしいですよ。

 ぐははは。気持ちよい!

 

 あ。あと、ギター側ボリュームやボリュームペダルへの追従性も高いままです。

 ピッキングの強弱に対する反応もきちんとしてくれます。

 凄いぞ、HXSTOMP&KATANAHEAD MK2!

 

 ※今回のテストにはCaparisonのDellingerを使用。