「株式市場の評価」とは | 尾張エクセルの「日々精進ブログ」

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「株式市場の評価方法」には、いくつかのアプローチがある。
主に3つの方法(市場株価法、純資産価額方式、批准方式)が使われるが、上場企業の
株価は、証券取引所での取引価格を基に評価をされる。これは、企業の業績や経済環境
などの要因に影響される。
「市場株価法」は、市場を基準として評価する方法である。「市場株価は長期的であれ
ば、企業価値を適正に反映して形成される」と考えられ、短期的には企業価値と無関係
に変動するケースも少なくない。「一時的な株価の変動」といった市場の影響が及ばな
いようにする必要があり、毎日の終値の1年~6か月程度の期間で平均値をとり評価額
としている。一定期間の株価の平均値を利用するので、客観性の高い値を導き出すこと
が可能である。
しかし、市場株価法は株価の変動が不自然な銘柄などでは、評価を適切に行うのは困難
ある点がデメリットだという。

小生が愛読する日経新聞7月17日付朝刊のマーケット総合欄のコラム「大機小機」に
掲載された記事には、詳細な数字までは小生には理解できないものの、ななかなか興味
をひかれたので、一部加筆の上で紹介する。
 
東証プライムの時価総額が1千兆円を記録した。10年前には、東証1部の時価総額は
430兆円、純資産は320兆円だった。今は、時価総額が1千兆円、純資産は660
兆円になった。時価総額は2.3倍に増えたが、純資産も倍増した結果、「PBR(株価
純資産倍率)」は10年前の1.34倍が足元で1.5倍になっただけである。
日本の株価は、10年前も今も「企業の帳簿上の純資産額を反映している」だけであり、
「市場の企業価値評価が高まったとは言えない」との議論があるという。純資産への上
乗せ幅(プレミアム)、即ち「PBRが1倍を超える部分が拡大してこそ 評価向上だ」
という見方である。
米国では「S&P500種株価指数」のPBRが、過去10年で2.7倍から 5倍へと
大きく拡大した。PBRの分母である構成銘柄の純資産は、6.6兆$から9.6兆$に
なっただけだ。この間で、純利益の累計は16兆$を超える。単純計算で、内部留保は
3兆$、残りの13兆$を自社株買いや配当で株主に還元し、資本の増加を抑えてきた。
高い「自己資本利益率(ROE)」につながり、日本の倍の水準である。
一方で、日本は 稼いだ利益(10年間で約390兆円)の殆んどを内部留保に回して、
「過剰資本」となり、PBRもROEも高まっていない。
日本企業も、ROEを向上させてPBRを高めようとの機運がある。実際、自社株買い
も配当も過去最高水準だ。だが、それらでROEを高めても、株主価値に変わりがない
とするのが、「モジリアーニ=ミラーの理論(MM理論)」である。

「MM理論」とは、米国の「フランコ・モディリアーニ」 と「マートン・ミラー」が
 1958年 に提唱した、資本構造における近代的思考の基礎、 完全な市場の下で企業が
資金調達を行うときには、資金調達方法の組み合わせ方を変えても企業価値は変化しな
いという定理である 。
仮に、米企業が 稼いだ16兆$を純資産に内部留保として回したとすれば、純資産は、
約23兆$。それを基にPBRを測れば約2倍と日本の1.5倍と大差ない。
米国のPBRは 5倍と高いが、プレミアムの大半は企業の利益であり、還元するのか、
内部留保に回すのかは 株主価値に関係がない。
確認しよう。東証プライムの時価総額は、過去10年で2.3倍である。S&P500は
2.7倍で大差ない。「米国の方が、ROEもPBRも高い」のにである。
内部留保で自己資本を増加させ時価総額を高めた日本企業のほうが、レバレッジも低く、
バリュエーション(投資尺度)が縮小する余地が少ないため リスクが低い。
長期でトータルリターンが変わらないならば、リスク対比の投資効率では 日本のほうが
優れているとも言えないかだろうか。