「QRコード」は今や世界中で使われているが、実は1994(平成6)年に株式会社
デンソーウェーブが開発した「日本生まれの技術」である。「バーコード」と比較して
「より多くの情報を格納したい」というニーズに応えて開発された。 |
ちなみに、「QR」とは「Quick Response」の頭字語であり、「素早い反応」という
意味である。その名のとおり、1秒間に30回読み取ることができる。
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QRコードの主な用途は「電子決済」をはじめ、「チラシや広告からホームページへ誘導
する」,「商品の情報や生産者の情報を確認する」,「コンサートやイベントなどの電子
チケット」等 実に様々。共通して「素早く作業を済ませられる」というメリットがある。 |
QRコードとバーコードの最大の違いは、情報を横並びに記録する「一次元コード」では
なく、情報を縦と横の2方向に記録する「二次元コード」であること。二次元にデータを
記録するQRコードであれば、バーコードのおよそ350倍もの情報を格納できる。 |
しかも数字だけでなく、平仮名、片仮名、漢字、アルファベットも表現可能だ。もっとも
大容量な「バージョン40」で、「誤り訂正レベルL」という設定のQRコードの場合は、
最大で漢字・かなを1817文字、英数字を4296文字、数字のみなら7089文字を
格納することができる。 |
QRコードが普及した要因のひとつが 手軽さだ。専用のリーダー(読み取り機)を必要と
せず、「ガラケー」のカメラの画像処理でデータを読み取れることは、2000年代初頭
としては画期的だった。 |
これまでのバーコードは、レーザーや特殊なセンサーによる読み取りのため、スーパーや
コンビニで見かけるような専用のリーダーが必要だった。しかし、QRコードならそれら
の初期投資を抑えることができるのである。 |
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小生が愛読する産経新聞7月18日付けの朝刊コラム【産経抄】から、一部加筆のうえで
引用して紹介する。 |
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取材相手から頂く名刺に、正方形状に並んだ白と黒の模様をよく見かける。スマホ(スマ
ートフォン)のカメラをかざすと、相手が勤める企業や団体のウェブサイトに、一足飛び
で案内してくれる。暮らしにすっかり馴染んだQRコードである。 |
その歴史は意外に古く、今年で誕生から30年という。携帯電話との連動は2002(平
成14)年で、空港の自動チェックイン機などで使えるようになったのは2006(平成
18)年から。中共で浸透するスマホでのキャッシュレス決済は、QRコードを使う方式
が一般的とも聞く。 |
小さな正方形が 巨大市場の土台まで支えているわけである。「国際規格」として世界中で
使われるこの技術は、日本の自動車部品メーカー「デンソー(分社後;デンソーウェーブ)」
が生み出した。国際規格の可否を判断するのは 「国際標準化機構(ISO)」などの国際
組織だが、承認までの過程は多難だった。 |
「特許の無償公開」に始まり、同種のコードを手掛けるライバル企業の横やりに手を打った。
承認に影響力を持つ欧米の専門家をうなずかせるため、ロビー活動に注力するなど金銭面の
負担も少なくなかったという(小川進著『QRコードの奇跡』)。 |
乾電池など国際規格の承認を勝ち取った日本の技術は多い。国際規格を逃した企業は、海外
市場で他の規格に合わせねばならない。政府は、「日本発」の国際規格を後押しする戦略の
策定に乗り出して、人材支援などで企業の力を高めるという。国益にも関わる課題ゆえに、
見守りたい。 |
恥ずかしながら最近、QRコードの一部を覆っても、情報を正しく読み取れることを知った。
破れや汚れで欠けた部分を復元してスマホに読み込ませる機能が、コードには組み込まれて
いるそうである。小さな正方形の中に隠された、日本の技術の底力だろう。 |