なぜ円安なのか | 尾張エクセルの「日々精進ブログ」

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6月24日の東京外国為替市場で、円相場が大きく下落している。8時30分時点は
1$=159円83〜85銭と、前週末17時時点と比べ1円07銭の円安・ドル高。
米景気の底堅さを背景にした「円売り・ドル買い」が優勢となって、8時半過ぎには
一時1$=159円90銭近辺と4月29日以来およそ2か月ぶりの安値をつけた。
6月の「米購買担当者景気指数(PMI)」速報値は。2年2か月ぶりの高水準に。
企業の景況感が改善していることで米景気は底堅さを保つとの見方が広がり、日米で
大きく開いた金利差に着目した「円売り・ドル買い」が改めて膨らんでいる。
神田真人財務官は6月24日、円安進行の為替相場への対応姿勢を問われて「投機に
もとづく過度な変動があった場合には、適切な行動をとる用意がある」と述べた。
為替介入については「常日頃から24時間いつでもできるように準備している」とも
述べて、円安進行を牽制した。だが目新しい内容には欠けたとして円買い・ドル売り
の勢いは限られている。
対ドルの円相場は1$=159円台を推移し、政府が為替介入に踏み切る前の4月に
付けた「1$=160円」に迫っている。
 
小生が愛読する日経新聞6月14日の夕刊マーケット・投資欄コラム;【十字路】に
掲載の 「中前国際経済研究所代表;中前忠氏の『なぜ円安なのか』」は、なかなか
面白かったので、一部加筆の上で引用して紹介する。
 
円安は長年にわたる放漫な財政・金融政策の結果」である。「税収を遥かに上回る
財政支出を続け、これを日銀がファイナンスし続けた
」からだ。円安を止める為には
財政も金融も引き締め、経済活動を落とさなくてはならない。
放漫の度合いをみると、2010年から23年にかけての13年間で、中央政府の債
務は609兆円から988兆円へと379兆円増えている
が、この同じ期間に日銀の
保有する国債(財投債を含む)は523兆円の増加
だ。政府債務の増加分の1.4倍も
買っているのだ。驚異的な「プリンティングマネー」である。
 
問題は「このような安易な財政政策は、貿易赤字の定着で転機を迎える」ことである。
資金の対外流出が加速するだけでなく、内外の金利格差が認識されてくるのだ。特に、
米国がインフレと高金利に見舞われて以降、状況は一段と厳しくなっている。
高いリターンを求めて、為替リスクのとれる個人マネーが海外投資の主役になった
からである。「ミセス・ワタナ」ベのドル預金に始まって、新NISA(少額投資非
課税制度)の下での海外株ファンドへの投資などである。金融機関のような投資制約
のない個人マネーが解き放たれてきているのである。
デフレからの脱却といって、インフレの受容を迫るのは中央銀行の傲慢」である。
円安はインフレを加速させて、家計の生活水準を圧迫する。しかも、円安になっても
輸出数量は増えてこない。大半の輸出企業は海外に生産基地をもっているからなのだ。
財政赤字と貿易赤字という双子の赤字を抱えた国は、財政も金融も引き締めて赤字の
縮小を強要されてきた
のが世界の歴史である。政治がそれに取り組まないなら、円安
から高金利へと市場が圧力をかける。小手先の為替介入で解決できる話ではないのだ。