エントロピーと白血球  | 尾張エクセルの「日々精進ブログ」

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エントロピーとは、「無秩序な状態の度合い(=乱雑さ)」を定量的に表す概念であり、
無秩序なほど高い値、秩序が保たれているほど低い値をとる。
エントロピー増大の法則とは、「物事は放っておくと、乱雑・無秩序・複雑な方向へと
向かい、自発的に元に戻ることはない」ということである。
別の言い方では、エントロピー増大の法則とは、自発変化の方向を示した法則であり、
その方向とは不可逆的な無秩序化だということである。

これは日常的にもよく目にする「覆水盆に返らず」ともいうべき現象で、例えば以下の
ような例がある。
・常温に置かれた熱湯は自然に冷めるが、一度冷めた水が勝手に熱湯に戻ることはない
・コーヒーにミルクを入れると自然に混ざるが、勝手に分かれることはない

小生は、高校や大学時代の講義で、統計力学的な説明;ボルツマンの関係式
「S(エントロピー) = kb(ボルツマン定数)× logW(微視的状態数)」の概念が
さっぱり理解できずに悶々としていたことを思い出しては、冷や汗が出る。


小生が愛読する日経新聞の5月8日付夕刊一面のコラム;「明日への話題」に掲載された
「元警察庁長官の松本光弘氏」の記事に興味をひかれたので、一部加筆の上で紹介する。
部屋は散らかり、形ある物は壊れる。これが宇宙の根本法則だ。無秩序や凡庸さ、情報量
などを表す「エントロピー」という量が 必ず増大するからである。普遍的な原理であり、
通常の物理学法則と異なり、観測や実験、理論の進歩によっては否定され得ない。
エントロピーを減らす片付けには、エネルギーが必要だ。生物もエネルギーを使ってエン
トロピーを外に捨てて、身体の恒常性を維持する。「免疫」はその基幹システムだ。人間
では白血球が中心となり、がん細胞や細菌,ウイルスなど内外の異分子と闘う。
人の社会も放置すればエントロピー増大で混沌に向かう。治安維持にもエネルギーを注ぎ
続ける必要がある。内外の撹乱(かくらん)分子から国民を守る警察は白血球に似ている。
移植することができず、外国警察や占領軍に治安は守れない。他方で、日本警察が外国人
犯罪を捜査するのも、様々な壁のため困難が多い。
白血球(のT細胞やB細胞)には、自己と非自己の識別訓練が必須になる。落第した白血球
は循環させない。暴走して健全な組織まで攻撃してしまうのが自己免疫疾患だ。
警察も、闘うべき相手を見極めるのが基本だ。しかし、人間に完璧はなく 自己免疫疾患を
起こさない仕組みと自戒も必要である。世界には、弾圧統治で社会を病ませながらも存続
している専制国家も多い。
しかしながら、白血球が機能しないと身体の秩序は保てない。白血病では 内外の敵と闘え
なくなり、エイズウイルスに白血球がやられれば、日和見感染を招く。警察が機能しなけ
れば国家は滅び、社会もカオスになる。
健全な白血球を循環させて、国民の幸せを保つことが、あるべき国家の姿であろう。