がんの進行で増す痛みの緩和を | 尾張エクセルの「日々精進ブログ」

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小生が愛読する日経新聞の5月8日付夕刊くらしナビ欄のコラム「がん社会を診る」に
掲載された東京大学特任教授中川恵一氏の「進行で増す痛みの緩和を…」には、がん患
者である小生は、おおいに興味をひかれたので、一部抜粋して紹介する。
がんはよほど、よほど進行しない限りは症状を出しにくい病気です。ましてや早期がん
で症状が出ることはまずありません。
がん検診を受けない人の調査でも「健康状態に自信があり 必要性を感じないから」が、
5人に1人が選んだ「受ける時間がないから」に次いで多かった。でも、絶好調でも
がん検診を受ける必要があります。

 

がんが進行して末期になると、多くの患者が激しい痛みに悩まされます。
終末期のがん患者の痛みをとる基本は「モルヒネやフェンタニル、オキシコドン」等の
医療用麻薬です。飲み薬が主流ですが、貼り薬などの形で使われることもあります。
 
日本の医療用麻薬の1人あたりの消費量(モルヒネに換算)は、ドイツの10分の1以
下で主要国中最下位クラス。近年は消費量がさらに減少しています。
「世界保健機関(WHO)」は がん患者の死亡前90日間の医療用麻薬の適正使用量を
モルヒネ換算で5400mgとしています。しかし、わが国の調査をみると、使用量の
中央値は311mgと適正量の17分の1程度にとどまります。
死亡前90日間の医療用麻薬の処方量は、都道府県によっても大きな開きがあることが
分かっています。国内トップの山形県は605mgだが、最下位の徳島県では36mg
と、およそ17倍もの差を認めています。
「緩和ケアにより延命効果も得られる」ことを鑑みると、「日本のがん患者は、二重の
マイナスを被っている」と言えるでしょう。

 
私は2003年から12年間、東大病院の初代緩和ケア診療部長を務めました。放射線
治療部門長との兼務でした。放射線治療と緩和ケアの担当が1人というのも、この2つ
の分野が軽視されてきた証しだと言えるでしょう。
がんの痛みをとる方法には、医療用麻薬の他に、放射線治療や神経ブロックもあります。
ただ、この2つの方法も日本は遅れが目立ちます。40年のがん治療の臨床経験からも、
「緩和ケアこそが医療の基本だ」と断言できます。