「戦略的互恵関係」とは誤解を招く「言葉遊び」 | 尾張エクセルの「日々精進ブログ」

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日中両政府は、両国が「戦略的互恵関係」を包括的に推進することで一致している。
しかし、これほど今の両国関係の実態とかけ離れた言葉はない。これをうのみにして
厳しい国際情勢への直視を怠って、軍事的,経済安全保障的に日本にとっての脅威、
懸念である中共との付き合い方を誤る国民や企業が出てくることを恐れる。
岸田文雄政権は、「戦略的互恵関係」という、今の時代にそぐわない言葉を弄ぶこと
をいい加減にやめたらどうか。

 
先月に訪米した岸田首相は、バイデン米大統領との間で、「対中抑止力を向上させる
防衛協力」で合意した。日米とフィリピンの3か国首脳会談では、東・南支那海で日
本フィリピンを圧迫する中国を念頭に安保協力強化で一致した。

岸田首相は、米議会演説では 中共について、日本だけでなく国際社会の平和と安定に
とって「最大の戦略的な挑戦」だと指摘した。
一方、首相の帰国直後の4月16日の閣議に報告された「令和6年版外交青書」では、
昨年11月の日中首脳会談で再確認した「戦略的互恵関係」の包括的推進を明記した。
外交青書での記載復活は5年ぶりだ。さらに岸田首相は4月19日の国会で 同趣旨の
答弁を行った。
「戦略的互恵関係」とは、日中間の歴史問題を棚上げにして 懸案も含め対話を重ねて、
環境・省エネ分野や人的交流、北朝鮮問題などで協力を進めて 日中双方が「果実」を
得られる分野で二国間関係を強化するという考え方である。

もともと第1次政権時の安倍晋三首相が2006(平成18)年の訪中で打ち出した
概念だ。次の福田康夫政権下では これを包括的に推進するとした「日中共同声明」が
出されたが、関係悪化に伴い2018(平成30)年には姿を消した。
なるべく波風を立てたくない姿勢の日本の外交当局と、経済減速や対米関係悪化等を
背景にして日本との軋轢(あつれき)を減らしたい中国の外交当局の思惑が一致して
復活したのか。
日中の対話や協力は 追求すべきだが、「戦略的互恵関係」という言葉で飾れるような
間柄では、もはやないだろうに…。