小生が愛読する日経新聞の4月10日付夕刊くらしナビ欄のコラム「がん社会を診る」に
掲載された東京大学特任教授中川恵一氏の「健やかに長く働くために…」には、おおいに
興味をひかれたので、一部加筆の上で紹介する。 |
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240114/16/office-sugimoto/d2/fa/j/o0558055815389382106.jpg?caw=800) |
春爛漫(らんまん)。今回は新入社員の皆さんにメッセージを届けたいと思います。 |
皆さんは65歳までは仕事をするつもりでいると思います。しかし、40年後には70歳
あるいはそれ以上まで働くのが常識になっているかもしれません。 |
「人生100年時代」も今よりずっと現実的になっているはずです。何といっても、年金
の支給開始年齢が引き上げられるのは間違いないと思います。 |
50年前と比べて、平均寿命は男女とも12年ほど延びています。一方で、年金の支給開始
年齢は、50年前はすでに60歳でしたが、今も65歳への移行が完了していません。 |
このままでは「わが国の年金制度の破綻」は目に見えていて、支給開始年齢の70歳への
引き上げは避けられないと私は思います。私たちは70歳あるいはそれ以上まで働くこと
になりそうです。 |
「経済協力開発機構(OECD)」が今年1月に公表した対日経済審査報告書でも、定年
の廃止を提案しています。 |
移民などの受入れを抑えながら国家を維持してきたわが国では、欧米のような「ハッピー
リタイアメント」は期待薄と言えるでしょう。 |
そして、がんは細胞の老化といえる病気ですから、働くがん患者が増えることは必然です。
皆さんは「がん社会」を生きていくことになります。 |
70歳くらいまで働き、その後も一定の生産性を保ちつつ、社会とのつながりを維持する
ためには、自分の体を大切にすることが必要です。 |
まずは、80歳までにがんで命を落とさないことが大事です。65~74歳の男性、35
~74歳の女性ではがんが死因の4割を超えます。「がんの壁」を越えることが必要です。 |
あまり知られてはいませんが、「健康増進法」という法律があります。国民の責務として、
「健康な生活習慣の重要性に対する関心と理解を深め、生涯にわたって、自らの健康状態
を自覚するとともに、健康の増進に努めなければならない」と定めています。
「自分の体に責任を持つ」ことは、日本人の努力義務になっているのです。 |
新入社員の皆さんには、「がんに関するリテラシー」を高めることが求められます。発症
原因も分からなければ治療法も存在しない「難病」もたくさんありますが、がんは知識や
行動で ある程度「コントロール可能」な病気です。学校でのがん教育が始まっている今、
大人のがん教育が大きな課題です。 |
手前味噌ですが、新入社員の皆さんには、このコラムを毎週お読みいただき、「がんリテ
ラシー」を高めてもらいたいと思います。そして、人生100年を謳歌して下さい。 |