米・英・仏によるシリア攻撃と「アサド政権の後ろ盾のロシア」に… | 尾張エクセルの「日々精進ブログ」

尾張エクセルの「日々精進ブログ」

木曽の清流に映え、心触れ合う躍動都市;愛知県一宮市に活動拠点を置く、尾張エクセルです。保守政権を応援しつつ、経済・社会・軍事防衛まで、地域や国内、海外の気になる出来事や話題を、独断と偏見溢れる一味違った目線でブログ提供します。

トランプ米大統領は4月13日、「シリアのアサド政権に対し、米軍が攻撃した」と発表した。

フランスと英国も参加して、アサド政権支配下の3か所の化学兵器関連施設を対象とした。

トランプ氏は、アサド政権の後ろ盾となるロシアを非難した。ロシアや、同国とともにアサド

政権を支援するイランとの対立が深まるのは必至だろう。

国防総省によると、攻撃は米東部時間午後9時ごろに始まった。対象は首都ダマスカスと

中部ホムス近郊にある化学兵器の研究開発センターや貯蔵・生産施設。ロイター通信に

よると、攻撃には巡航ミサイル「トマホーク」が使われた。アサド政権への攻撃は2017年

4月以来となる。

 

マティス米国防長官は、4月13日夜の記者会見で「前回よりも大規模な攻撃になった」と

強調し、前回の2倍の兵器を使用したと説明した。

米国政府は4月14日、「シリアのアサド政権による化学兵器攻撃で、サリンと塩素ガスが

使われた」との認識を示した。アサド政権が化学兵器を相次いで使う理由は「軍事面での

人員不足を補うためだ」と指摘。化学兵器の使用が止まらない場合には「さらなる行動を

する」と述べ、追加での軍事行動に踏み切る考えを示唆した。

国連安全保障理事会は、米・英・仏によるシリア攻撃を受けて4月14日に、緊急会合を

開催した。アサド政権を支援するロシアが提出をした攻撃非難決議案を採決したものの、

賛成はロシアと中国、ボリビアの3カ国だけで否決された。

 

「化学兵器の使用は許されない」という欧米を中心に攻撃を容認する機運が鮮明となった。

アサド大統領は4月15日、ダマスカスを訪れたロシア与党議員と会談して、「両国は国家

主権の尊重に基づく国際法を守るため同じ戦いをしている」と述べ、ロシアとの協力を強

化する意向を示した。米英仏による攻撃を「侵略行為」と改めて批判したという。

これに先立ち、トランプ米大統領は4月14日に、マクロン仏大統領やメイ英首相と、シリア

情勢に関してそれぞれ電話で協議した。

マクロン氏とは、「共同作戦が成功し、アサド政権によるさらなる化学兵器攻撃を防ぐには

必要だった」との認識で一致。過激派組織「イスラム国(IS)」の壊滅のため、シリア安定に

向けた多国間での努力をさらに進めていく必要性を議論した。

トランプ氏は、メイ氏にシリアからの化学兵器の排除に向けた支援に謝意を伝えた。両首

脳も「空爆が必要だった」との考えで一致した。

 

これほど惨劇が続くとは誰が予想したろう。発端は7年前、中東の民主化運動「アラブの

春」が波及した反政府デモだ。アサド政権の武力弾圧に反体制派が蜂起し、シリア内戦

は広がった。ところが、その頃日本では東日本大震災に目を奪われて関心が薄かった。

混乱に乗じて台頭した過激派組織「イスラム国(IS)」が不幸に輪を掛けた。IS衰退後も、

政権軍・反体制派・クルド人の3勢力が争う。これを米ロや周辺国が応援し混迷を深めた。

東西文明が交差する「世界遺産の宝庫」は、今や見るも無残な状況だ

人口の約半数1千万人超が難民となり、死者は40万人以上とされる。痛ましいのは子ど

もたちだ。トルコの海岸に遺体で漂着した難民の幼児の写真が世界中に衝撃を与えた。

昨秋、東グータ地区を包囲した政府軍の砲撃で母と左目を失った乳児の写真も、住民の

嘆きが伝わってきた。

米・英・仏が踏み切った政権側へのミサイル攻撃は、劣勢となった反体制派の拠点である

「東グータ」地区に対して「非人道的な化学兵器を使った」との理由である。しかし、これが

解決に繋がるのだろうか。トランプ米大統領は「シリアから手を引く」と言いながら、強硬策

を指示している。

 

場当たり的な対応では、アサド政権からも「生半可だ」と見透かされよう。政権の後ろ盾で

あるロシアを巻き込み、本気で取り組む気はあるのか。「今世紀最悪の人道危機」といわ

れるシリア内戦だ。国内外へのパフォーマンスで終わるとすれば、危機を高めただけだ。

トランプ氏の責任はまことに重大である。