防衛省は4月16日に、「イラク復興支援特別措置法」に基づいて2004~06年に派遣
された陸上自衛隊部隊の日報を公表した。陸自の活動は「非戦闘地域」に限定していた
が、派遣された南部「サマワ」の治安情勢について「戦闘が拡大」との記載があった。
小野寺五典防衛相は「イラク特措法に基づいて活動していた」と述べて、「法的な問題は
ない」との認識を示した。
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防衛省が公開した日報は435日分で計1万49129ページ。2004~06年の派遣期間
の一部で、陸自研究本部(現・教育訓練研究本部)などで保管が判明した分を公表した。 |
日報には イラク全土や陸自を派遣した「サマワ」の治安状況、復興支援活動に従事した
人員や活動報告が記されている。武器の保有状況や隊員の個人情報に関わる記述は、
黒塗りになっている。 |
「戦闘が拡大」との記載があったのは2006年1月22日分である。「サマワで 英国軍の
パトロールに反感を持った地元民兵が射撃し始めた事に端を発した」と記載され、悪化
する治安情勢が報告されている。他にも複数「戦闘」との表現がある。 |
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閑話休題。子供を叱り続けていると、次第に嘘をつくようになる・・・そうである。それは、
「防衛本能」のしからしむるところである。 |
「防衛省がイラク日報を隠し続けた」のも、恐らくは「世論から袋叩きにされないように、
身構えたからであろう」と、小生は推察する。これまた「防衛本能」というものであろうか。
「隠蔽」は確かに問題であるが、神経質すぎる世論もまた問題ではなかろうか。
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イラクの復興支援のために、イラク特措法に基づいて「イラク南部のサマワ」に派遣され
た陸上自衛隊員は延5500人である。隊員は、医療指導や給水活動、学校や道路など
公共施設の整備に従事し、一発の銃弾を発射せず、当然一人も殺すことなく、また一人
の隊員もも欠けることなく任務を全うして帰国した。 |
勿論 安全には配慮していたが、紛争地域ではいつ戦闘に巻き込まれないとも限らない。
「危うきには近寄るな」が国内の世論であっても、「派遣先はイラクであるから、どこにい
ようと不測の事態は起きかねなかった」であろう。イラク特措法は、自衛隊の活動範囲を
「現に戦闘行為が行われていない地域(非戦闘地域)」だと規定していたのだが、当時も
治安状況が国会で議論となっていた。 |
案の定、英国軍のパトロールに不満を持った地元の民兵が射撃をし始めたのが引き金
となって「戦闘が拡大」という記述が日報に書き加えられた由。 |
戦闘拡大には国連軍すらも怯えて、いくつかの国の派遣部隊が担当守備地域から逃げ
出した」という報道もあり、「現地に踏みとどまった自衛隊の勇気に感心した」ことを小生
は思いだした。 |
その崇高な使命感すら、すっかり平和ボケした日本から見れば、「安全との秤」にかけら
れて非難されるのである。だから、「まかり間違っても、戦闘があったことなど知らせない
方が無難」という考え方も生まれるのだろう。 |
「日本の常識は世界の非常識である」というのは、あながち嘘ではないようである。 |