介護事業所の経営者の皆様、こんばんは。
介護労務コンサルタント(社会保険労務士、介護福祉士)の松岡勇人です。
福利厚生とは、一体何なんだろうか?
「あの会社は福利厚生がいい!」とか、よく耳にする。
また就職先を考える際にも、福利厚生が1つのキーワードになることがある。
福利厚生とは、従業員やその家族の健康や生活の向上のために経営者が行う諸施策の総称で、法定福利厚生と法定外福利厚生に分類される。
一般に「福利厚生」と言われて、イメージできるものは法定外福利厚生の方で、具体的には社宅、独身寮、リゾート地の保養所であろうか。
その他、慶弔見舞金や法定の育児介護休業への上積み、財形貯蓄制度などのお金関係も法定外福利厚生に含まれる。
この法定外福利厚生は、企業規模が大きいほど、多様なものを提供している傾向がある。
一方、法定福利厚生とは、企業規模に関係なく、法律により、経営者に義務付けられているもので、具体的には健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料の事業主負担分を指している。
法定外福利厚生は、お給料と異なり、本来、経営者が従業員に与える義務がないものです。
但、法定外福利厚生は、一度、支給してしまうと、従業員にとって既得権益になり、もらって当然という発想になってしまうので、注意が必要だ。
したがって、経営者が法定外福利厚生の廃止をしようとすれば、従業員たちから反対や抵抗に遭うのは、目に見えている。
なぜならば、一般に、自分たちが一度得た既得権益に対して強い執着心を持つからである。
大企業であっても、景気が悪くなれば、維持することが難しくなるのが、法定外福利厚生だ。
法定外福利厚生の廃止をする場合、根気強く従業員を説得する姿勢が、経営者には求められる。
経費節減の必要性を訴え、理解を求めれば、従業員の理解が得られるハズである。
通常、法定外福利厚生を廃止する場合は、従業員の負担を減らすために、経過措置を設けて、段階的に廃止していく手法が用いられる。
注意しなければならないのは、廃止する法定外福利厚生が、就業規則に記載されている場合だ。
なぜならば、就業規則の不利益変更に該当するからだ。
しかし、不利益変更に該当し、仮に裁判で争われることになっても、合理性が認められれば、従業員の同意不要で廃止できる可能性もある。
介護事業所でも、今回の介護報酬の引き下げに伴い、法定外福利厚生の見直しが必要になることもあると思う。
本来、法定外福利厚生は、人手確保のために、社宅や余暇施設などの拡充が図られてきた経緯もあるので、法定外福利厚生の見直しの必要性があるときは、慎重な対応が求められます。
今号もご覧いただき、ありがとうございました。次号もよろしくお願いいたします。