こんばんは。
介護労務コンサルタント(社会保険労務士、介護福祉士)の松岡勇人です。
今週号のテーマは、「人材」です。
「人手不足」と「人材不足」のダブルパンチ
「大手企業を中心に業績が好転し、「人手不足」は幅広い産業に波及している。これに起因した「求人難」による倒産も発生している。」(2015.01.13、東京商工リサーチHPより)
この報道を受けて、介護事業所の社長の皆様は、不安が頭をよぎったハズだ!
なぜならば、介護業界では、世間の景気が良くなると、ただでさえ高い離職率がさらに高くなる傾向があるからだ。
元々、介護に関心のなかった者が、不景気で仕事が無くなったので仕方なく介護に携わり、景気が良くなると介護から離れていくパターンだ
さらに深刻な問題として、福祉系の大学等を卒業しても、卒業生の半数以上が就職先として福祉系ではなく、一般の企業または公務員になっているという事実がある。
介護事業所では、「人手不足」も深刻だが、「人材不足」も深刻化している。
「人手不足」と「人材不足」
似ている言葉で、意識をしなければ、ほぼ同義語として使われていると思われるが、私は敢えて、次のように分けて使用している。
「人手不足」⇒平易に言えば、頭数が不足していることだ。
「人材不足」⇒介護に携わるに際し、必要なスキル等を身に付けている者が不足していることだ。
「人材」不足は、外部の研修や事業所内の研修等を通じて育てることができるので、時間は必要だが解決策はある。
しかし、「人手」不足は、一介護事業所内で済むお話ではない。
介護事業所の社長の皆様は、御社に忍び寄る「人手不足」倒産を真剣に考えた方がよい。
高齢社会が進み、介護サービスを必要とする要介護者は増える一方だが、それとは反対に介護サービスの担い手は減る一方だ!
国は真剣に介護の担い手のことを考えているのだろうか?
今回の介護報酬マイナス改定は、「人手不足」に拍車をかけるだろう。
介護の現場をよく知らない者が、介護保険法の改正(実際には、「改悪」だと私は思う)に携わるのは止めてもらいたい!
実際に介護の現場を視察に来たり、関係者からヒヤリング調査をやったから、介護の現場をよく知っています・・・は、早計だろう。
介護福祉士の受験資格を取得するのに、介護現場の実務経験3年以上の条件が課せられているのと同じように、介護保険法の制定に関係する者にも同じ条件を課したいぐらいだ!
これくらい介護の現場に関係しないと介護の現場は、よくわからない。
実態に合わない介護保険法の規制のもとで働く介護職員を労働基準法で規制するのもどうか?
介護職員は労働者として労働基準法で守られる立場にあるが、実態とかけ離れているシチュエーションによく遭遇する。
これら矛盾は本当に考えものだ!
介護事業所の社長の皆様も、斜陽産業でなく成長産業の介護業界の「人手不足」について、介護報酬マイナス改定で塞ぎ込むのではなく、もっともっと声を大にしよう!
今週号もご覧いただき、ありがとうございました。次号もよろしくお願いいたします。