ボクらの少年時代「ウォークマン」 | 小椋聡@カバ丸クリエイティブ工房

小椋聡@カバ丸クリエイティブ工房

兵庫県の田舎で、茅葺きトタン引きの古民家でデザイナー&イラストレーターとして生活しています。
自宅兼事務所の「古民家空間 kotonoha」は、雑貨屋、民泊、シェアキッチン、レンタルスペースとしても活用しています。

いろんなことに興味を持ち始める思春期である小学6年生の夏に、台北に引っ越しをしました(当時は、台湾への渡航にもビザが必要でした)。世界の様々なテクノロジーが目まぐるしく変化している時代でしたし、今と違ってネットも無い時代でしたので、漏れ伝わってくる情報がとても魅力的に思えて、日本という国がまるで夢の国のように感じていました。夏休みや冬休みなどに日本に一時帰国をした同級生たちが仕入れてくる情報がものすごくうらやましくて、日本のテレビ番組の「紅白歌合戦」や「西部警察」などを録画してきたビデオを、VHS(もしくはβマックス)の再生機器を持っている友人の家に集まって見ていたような時代です。

台北でも邱永漢書店というところで日本の少年向け雑誌「平凡」「明星」、映画雑誌「スクリーン」なども売っていましたので、そこで垣間見ることができる情報がキラキラ輝いて見えていました。ちょうど僕が台北にいる頃にソフィー・マルソーの「ラ・ブーム」が公開され、雑誌「スクリーン」でもよく紹介されていました。子供心に、めっちゃかわいい〜と思いました♥ナスターシャ・キンスキーやブルック・シールズなど、映画というものにほとんど触れたことのない世代の我々(あるとすれば「のび太の恐竜」とか「プロジェクトA」「ゴジラ対モスラ」ぐらい)にとっては、ブロマイド(生写真と共に死語)を見るのもキュンとくる存在でした。

そんな中、日本に一時帰国をした友人がソニーのウォークマンなるものを持って帰ってきて、初めてYMOのカセットテープを聞かせてくれました。「ぬお〜!!なんだ、この猛烈にカッコよくて変な曲は!!!」「しかもメチャクチャ音が良い!!!」という衝撃を受け、こんなスゴいものが日本で流行っているらしい…ということを知りました。まったく前知識がない中でいきなりYMOの曲を聞かされたので、どう理解して良いのかも分からず、とにかく僕の中に強烈なインパクトを残した鮮烈な彼らの音楽との出会いでした。
好きな音楽を歩きながら聞くことができるという、今ではバカみたいに当たり前のことですが、そのスタイリッシュさやカッコ良さの衝撃をリアルタイムで実感できた我々は、とても幸せだったのだと思います。まさに、テクノロジーによって未知の時代がやって来るという実感がありましたし、日本という自分の国がその最先端を走っていたのを感じることができる時代でした。