夢芝居とは
娘のバスケを観戦に来ている。三年生にとっては最後の大会。
格上と目される相手を僅差でリードし続け、最後は2点差でしのぎ切るという、しびれるようなゲームだった。夏に続きベスト8進出、二時間後に準々決勝を迎える。
補欠の娘は仲間と勝利を喜び合う間もなく、次試合のTO(テーブルオフィシャル=時間、得点、ファウル等の管理)に就く。これも大事な仕事だ。

さて、このところ急速に活動範囲、規模を拡大しつつある「夢芝居」。これを印屋さんと延長先生wの聖域として遠巻きに眺めていた私だったが、このたび浅草会にお招きいただいた。ろしーたさんが幹事役で、驚いたことに釣魂さんもいらっしゃるという。
開始から二時間遅れで入店したにも関わらず、まだ鉄板に火が入っていない。もんじゃ焼き屋さんでもんじゃ焼きを食べずに、皆さん待っていてくださったのだ。そして着席と同時にプレゼント攻め。まだ面識のないげっこさんの、夢芝居への思いを受け取った。以前記事で拝見した、印屋さんの粋な絵も。
延長先生wはこなれた大人。旺盛なサービス精神で終始、会をリードされていた。そして印屋さんとの会話のなかに、普段の夢芝居がちらほらと垣間見える。それをごく簡単に言ってしまえば、本音トーク。ご自身同士が認めるほど対照的な性格のお二人だが、「俺はこう思う」「それは○○だよね」と、わりにはっきり伝え合っておられる。
この会の題名はもしかしたら、たわむれに付けられたものかもしれないが、私はなぜか、ずっと前からその意味を考えていた。
夢のような芝居なのか。夢があるのだと演じる場なのか。
夢も芝居も、どちらも現実であらざるものならば、二つは互いを打ち消し合うのではないか。
そして案の定夢芝居は、現実に向き合う男たちが、上司の愚痴も政府への文句も言わず、ただ魚釣りや女の話で盛り上がる、それはステキな集いなのであった。
鬼ベスト10選
夜、コンビニで品物を選び、支払いを済ませたときのこと。
隣のレジから別の店員が、こちらに移動してくるのが目に入った。
いきなり声がデカい。「ご一緒にシフォンケーキいかがですか?好評で毎日完売なんですよ!」
見るとカウンターの上に、たったの二個だけ並んでいる。そのお姉ちゃんの快活さとタイミングに退路を断たれ、もう買うしかないとは思ったものの、
「なんやメッチャ推してくんな~」と苦笑すれば即座に、
「絶対後悔させませんから!」
とたたみかけてくる心地良さ。
後悔もなにも、100円のシフォンケーキやで(笑)しかもこっちはウイスキーと発泡酒の客だというのに…
「分かった一個もらうわ」
「ありがとうございます!」
こんな楽しい売り込みは経験がなかった。
このお姉ちゃん、明るさと勢いだけ。
でも、凄いなと思った。毎日完売にもうなずける。これが原点かなと。モノを売る身として、素直に真似てみようと思った。
翌日。
飛び込み訪問先、全件門前払い。
さて、本題。
1「嵐ヶ丘」
創ること、生きることへの決意表明。超弩級のフレーズが次から次へと出現し、目もくらむほど。下手な文学などたちどころに霞んでしまう。痛々しく、けなげで、愛おしい。迷わずNo.1
2「茨の海」
ありふれた言葉が、並べようによっては呪文になり得るという証明。あるいは創り手と受け手の間を行き来する、隠微で淫靡な契約書。
3「帰り路をなくして」
どこか中島みゆきの楽曲をほうふつとさせる。違うのは、プロジェクトXのヒーローではなく、出口すらない地べたを這いずり回る人間を照らすところ。
4「A Horse and A Queen」
ただひたすらにカッコいい。何のことを歌っているのかよく分からないが、曲想が素晴らしいので、そんなことはまるで問題にならない。
5「漂流の羽根」
豊かな中低音を満喫できる、鬼の歌唱の、ひとつのピークパフォーマンス。歌詞の鋭さに比して、彼女のうたごえは角がまるい。
6「Tiger in my Love」
分かりやすく敵を指し示す、パワフルな詞と歌いっぷり。ギターレスの骨太サウンドは、一発録りかと思わせるライブ感で、インストとして聴いても秀逸。
7「育つ雑草」
キレっぷりが素晴らしい。私はロックの薫陶を受けずに育ったため、その概念が分からないが、この曲を聴いたとき、これがロックではないだろうか、と思った。
8「陽炎」
滅多に愛や恋を口にしない彼女だが、ここではてらいなく女の情念をさらす。たゆたう和のにおいとあいまって、珍しい艶っぽさを醸し出している。
9「僕等 バラ色の日々」
痛みを美へ昇華することに長けた鬼の極北。物語性の豊かさもさることながら、メロディーメーカーとしての力量を存分に発揮している。
10「HIDE AND SCREAM」
小品然とした、ひそやかで可愛らしい曲。分かってほしいという願望があふれている、というのは安易すぎる見方かもしれないが、彼女の言動が刺激を増幅されて語られるとき、しばしばこの歌を思い浮かべる。