
昨日手に入れた時刻表の中には、夜汽車が走っていない。
生きることに迷い、旅の途中で飛び乗った夜汽車が、全く走っていないのだ。
新幹線で家出ができるか。
夜行バスで、故郷を捨てる旅に出られるか。
答えは否だと、体が云う。
家出するときは、大した金を身に纏えずにいるから、新幹線には乗れない。
夜行バスは途中下車ができない。しかも画一的なSAなど、家出には似合わぬ。
だから心の家出をする。乗る列車は、もちろん心の時刻表に載っている。
大人になっても、あの頃と同じような家出がしたい。
そう思う時があるのだ。