普段は堅苦しい内容の仕事をしておりますが、しかし時には音楽レクリエーションという親しみやすいことも、仕事の一つとしてやります。
物事には必ず裏と表がありますから、要は使い分けが大事だと思っています。
さて、この度。
福祉制度の学習会と音楽レクリエーションという、互いに相容れぬ内容の仕事を同じ場所で、同じ人たちに使い分けて行いました。
音レクでは定番の懐メロの他に、最近はフォークソングや比較的新しめの曲も取り入れています。
今回は「涙そうそう」を新たに入れて、会場の皆さんと歌いました。
プログラムが終わり、一人の女性が私のところにやってきて、こんなことを話してくれました。
何でも、その方は二週間前にお兄さんをガンで亡くされたそう。気持ちが塞いでいるから、今日の集いは欠席しようと思っていたといいます。
でも、いつまでも塞いでいるわけにもいかないから、思い切って気分転換に参加されたのだそうです。
そんなときに「涙そうそう」を歌ったから、兄を思って涙が流れてきたと言われました。
正直なところ、なぜ「涙そうそう」とお兄さんが結びつくのか、ピンときませんでした。
「やっぱり来てよかった。泣けたから、少しは気が楽になりました」
そう言って去っていかれた女性に、理由も分からず、何故だかこちらが救われた気持ちがしたのです。
恥ずかしながら、この曲が出来た背景を知りませんでした。
「涙そうそう」は、森山良子さんが亡くなったお兄さんを思って作詞をした曲だと、後で嫁さんが教えてくれました。
そうだったんだ…。
知っていたなら、どんな演奏になったろうかと思います。
さっきの女性は、泣いてくれるかどうか。