涙そうそう | フォークシンガー「おだしょう」〜夕暮れ時は楽しそう♫

フォークシンガー「おだしょう」〜夕暮れ時は楽しそう♫

若い頃に戻りたいなんて、全然思いません。人生は夕暮れ時からが楽しい。
音楽を通じて、出会った素敵なエピソードを綴ります。

普段は堅苦しい内容の仕事をしておりますが、しかし時には音楽レクリエーションという親しみやすいことも、仕事の一つとしてやります。

物事には必ず裏と表がありますから、要は使い分けが大事だと思っています。

さて、この度。

福祉制度の学習会と音楽レクリエーションという、互いに相容れぬ内容の仕事を同じ場所で、同じ人たちに使い分けて行いました。


音レクでは定番の懐メロの他に、最近はフォークソングや比較的新しめの曲も取り入れています。

今回は「涙そうそう」を新たに入れて、会場の皆さんと歌いました。

プログラムが終わり、一人の女性が私のところにやってきて、こんなことを話してくれました。

何でも、その方は二週間前にお兄さんをガンで亡くされたそう。気持ちが塞いでいるから、今日の集いは欠席しようと思っていたといいます。

でも、いつまでも塞いでいるわけにもいかないから、思い切って気分転換に参加されたのだそうです。

そんなときに「涙そうそう」を歌ったから、兄を思って涙が流れてきたと言われました。


正直なところ、なぜ「涙そうそう」とお兄さんが結びつくのか、ピンときませんでした。


「やっぱり来てよかった。泣けたから、少しは気が楽になりました」

そう言って去っていかれた女性に、理由も分からず、何故だかこちらが救われた気持ちがしたのです。


恥ずかしながら、この曲が出来た背景を知りませんでした。

「涙そうそう」は、森山良子さんが亡くなったお兄さんを思って作詞をした曲だと、後で嫁さんが教えてくれました。


そうだったんだ…。

知っていたなら、どんな演奏になったろうかと思います。

さっきの女性は、泣いてくれるかどうか。