何十年ぶりかで会う叔母が、そう言った。
五十の男に、大きくなったね!もないもんだと思ったが、叔母は笑顔でこう重ねる。
「やかましく庭を走り回っていた子が、こんなになるんかね!」
叔母さん!そりゃそうだろと言いかけて、やめた。
今日は叔父の三回忌で、久しぶりに親戚が集まった。
同い年の従兄弟とは、叔父の葬式以来初めて会う。
もう一人、二つ上の従兄弟も、葬式以来。
同い年の従兄弟は、頭髪が後退している。
二つ年上の従兄弟は、もっとハゲしく後退しており、形容しがたい。
しかし二人とも、頭を輝かせながら、いつも笑顔を絶やさない。
彼らは、周りを和ませる。

二つ年上の従兄弟はバイオリン弾きである。プロではないが、市民オーケストラで長く弾いていた。
それが、ここしばらくは音楽から離れていたのだが、叔父が亡くなったのをきっかけに、再びバイオリンを弾き始めた。
従兄弟が言うには、オーケストラは私のような弾き語り人とは違い、人前で演奏する機会は少ない。
この先あと何回ステージに上がれるか分からないから、後悔したくないとの思いが強くなったのだそうだ。
バイオリンを再び弾き始めた従兄弟は、頭は元々輝いているが、人生も輝きだしたと言った。
これは、本当に素晴らしいことだ。
さて。
再び法要の場を見ると、一定の年齢を過ぎた男たちは、ほぼ例外なく頭が輝いている。
ご意見番のような存在の叔父が、こう言った。
「しょう君は、まだ頭がフサフサしとるようじゃが、ワシらの仲間入りは決まっとる。いいか、時間の問題なんだぞ」
その瞬間、周りから大きな笑い声が起こった。
さらに同い年の従兄弟が言った。
「今のうちに、楽しんでおいたほうがいい。どっちにしても決まっとる。みんな仲間よ。同じ血が流れとるけんね」
仲間外れにしてほしいと、切に願う。
勝手に決めるな~!(怒)