今朝のこと。
松葉杖をついて事務所まで歩いていると、後ろから声をかけられた。
「おはようございまーす!」
元気そうな若い娘の声だ。それから娘は俺の横にピッタリついて、こう言った。
「右足、お怪我されていますよね。毎朝みてました。もう・・・心配で・・・」
おおおっ!俺はまだまだいけるのか!若い娘っ子から心配されるほど好かれるんだ!
そう思った瞬間、その娘っ子。
「杖の使い方が心配でたまらなくて。で、このように使ってください。そのほうが転ばなくて安全です!」
な~んだ、娘っ子をよく見たら、近くの医院の理学療法士(PT:Physical Therapist)だった。
彼女はPTという職業上、杖の使い方が危なっかしい俺を、放っておけなかっただけなのだ。
バカな俺だ。それはともかく彼女にPT魂をみた。
俺の職業魂はあるのか。自信がない。

けれども、フォークシンガーとしての魂は・・・たぶんあるんじゃないか。あると思いたい。
人の心の機微を見つめ、世の中の潮流を捉えて、自分なりのメッセージをメロディーにのせる。
そして、自分一人で演奏する。
憧れのフォークシンガーは、反骨心があって、たった一人でステージに立って、自作自演するという潔さがある。
さて、先ほどのPTとしての彼女とフォークシンガーとしての自分に、勝手ながら共通点を見出した。
今度は俺から彼女に声をかける番だ。そしてこう言う。
「俺の歌を聴いてくれないか」
きっと迷惑だし無視されるだろうから、実際には言わない。しかし俺の歌を聴いてほしいと思うのも、押し付けがましいフォークシンガー魂なのだ!