7月14日9時1分頃、秋田県能代市で行われた小型ロケット「イプシロンS」の第2段モータ(E-21)設計妥当性を評価燃焼試験中に爆発した。
NVS イプシロンSロケット第2段モータE-21地上燃焼試験中に爆発(編集版)
【2段モータ】
強化型より推進薬を3t増大し燃焼時間を10秒短縮し推力140kNを上げている。
従って燃焼温度&燃焼圧力ともM-35より上がっていると思われる。
■7/31報告書(イプシロンSロケット2段モータ(E-21)地上燃焼試験調査状況)より
【地上試験結果】
モータ点火後20秒あたりから燃焼圧力が予測圧力から乖離が始まった。その後、モータ点火後約57秒の時点で燃焼圧力が約7.5MPaでモータが爆発。(ただし燃焼圧力は最大使用圧力(8.0MPa)及び耐圧試験の圧力(10.0MPa)以下であった)また、モータ爆発までノズル駆動が正常であった。
【圧力・推力データ】
燃焼初めからのグラフと予想曲線が欲しいいです。
これだけでは推力が上がって破裂としか読めない。
計測データから
❶モータ点火後20秒あたりから燃焼圧力が予測圧力から乖離が始まっているため、燃焼が何 かの原因で若干予想とは違っている。
※推進薬はSRB-Aとほぼ同じバインダが製造中止により変わっている。
❷推力が56.9697sから急上昇、圧力は56.9726sまでフラフラしている。
※断熱が破壊された?なぜ推力は急上昇しているのに圧力は下がっているのか?
尚インフレーションは、強化イプシロンから断熱・気密・水密の3層構造から単層に変わっている。
❸圧力は56.9726s以降爆発まで急激に上下振動を繰返す。
※CFRP製ケースに燃へ移ったと思われる。
尚CFRP製ケースは、強化イプシロンから設計基準を変更し軽量化を図っている。
【JAXAの見解】
FTA原因分析結果の推定原因
❶推進薬燃焼異常
❷インシュレーション断熱不良。
圧力・推力データから圧力は上昇せずに爆発しているため、何らかの理由でモータケースに熱的に過大な負荷がかかり、構造部材が強度を維持するための許容温度を超えたことで破壊に至った可能性が高いと分析している。
【コンポジット推進薬の燃焼】
固体推進薬の燃焼速度は、侵食燃焼と呼ばれる現象。
推進薬表面が点火器で加熱されると,酸化剤(AP粒子)とバインダの熱分解が促進されます。熱分解によって発生したガスは拡散混合によって反応し,推進薬表面より少し離れた位置に火炎を形成し起きた火炎の熱がフィードバックされ燃焼が維持されます。推進薬の燃焼速度は,近傍の気体の速度,圧力,輻射の変動に応答して変わり燃焼速度が変わると流量が変化し圧力が変化するという具合に密接に関係している。ロケットの燃焼として望ましくないのは,この応答が共鳴し燃焼が非定常になって激しく振動し燃焼室を構造力学上脅威にさらすことです。
また高温燃焼ガスの高速流れの振動は、熱伝達率、ガス速度、および圧力の大幅な増加につながり、それが瞬間燃焼速度に影響を与えます。
【2段モータは当初の開発計画には無かった】
イプシロンSの2020年5月19日公開の開発計画を見るとM-35モータをそのまま使う予定だったようで開発計画には含まれていませんが、発射前2023年7月7日公開の開発計画では2段モータ大型化で推進薬が18tに拡大しています。
多分SRB-3の開発が2月の燃焼試験で完了した結果イプシロンSの第一段には、打ち上げ能力が不足した為に、第二段の大型化開発が急遽決まったのではないかと思います。
開発者から見て難しくないこの様な仕事は、熟練者は担当しませんし関心も持ちません従ってポカが起こり易く車の開発でも何度も問題を起こしています。
今回は、さらに時間的余裕もない。
その証拠に
同系列の第3段モータ(E-31)の燃焼実験は。6月6日に成功している。
残念ながら推力などの計測データや推進薬の比率などまだ公開されてない。
ロケットモータはEシリーズと成っているので推進薬等ほぼ同じと思われる。
長くなったので2回に分けます。
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