3月16日に調査・安全有識者会合時の報告書が公開されたので検討してみました。

ノイズというより自己診断判定ミスによる誤動作ぽいですよね?

H3ロケットの中身の情報は、エンジン開発ばかりが強調され電気系統の情報が非常に少ない。

従って関係者以外故障原因の深読みが出来ません。

誰か電気関係がどの程度変わったか知りませんか?

 

 

今回の報告では、エンジン系の制御ユニットが電源系の過電流を検知して停止したとのこと。

ECB(2段エンジンコントロールボックス)の電圧は正常だったが、PSC2(2段推進系コントローラ)の組込み自己診断プログラムがエンジン駆動電圧/電流異常を検知した為で駆動機器の電源を遮断したようです。

 


H-Ⅱには、駆動電源系の電圧電流以上検知機能は無いようです。
要するに初めての機能

すこーし穿った見方をすると!

自己診断プログラムで、一番難しい所は異常検出の判断レベルをどこにするかです。

きっと、プログラム開発者に丸投げで困った開発者は、常識的に電圧が80%低下したら異常判定でいいですかと各ユニット担当に効いて「いんじゃないと言うことで」決定したのではないか?

 

産業機械や自動車などは、

その後、色々問題が起こり判断レベルの見直しや二重検証そして重み付けなどを行ないます。

 

織機の場合、さらに別の信号を使って正常と判断させたり、予想される検出時間以外は目蔵を被せたりします(綿埃を検出する為)。その他個別に止めない操作を色々実施していました。究極は、無駄停止して停止段を作るよりA反の範囲なら無視して止めない等も群管理を行う場合実施可能に成っていました。

今はもっと進んでいると思います。(私が現役の時なので20年前の話です)

 

初心者に有りがちな“トラブル”のように感じます。

 

これでは、自己診断プログラムの異常判定を全て見直しする必要が有ります。

 


制御系電圧は【正常】 駆動電圧は【A/B系とも異常】
A系は0.12Sで30V→0V、B系は0.25Sで30V→0V
サンプリングが8Hzなので細かいデータは取れない。

 

A系列とB系列で電圧低下が違っているため電源ラインの実波形を拾ったものと思われる。

電圧低下は、駆動アクチュエータの違いが良く出ています。

A系は、エキサイタ(点火プラグ)B系は、電磁弁(ソレノイド)で両方ともコイルですが質量の違いから電圧低下の違いが読み取れます。

要するに、何個かある駆動系が一遍に作動した為、電池からの供給電流が不足し電圧低下をもたらした為に駆動系の電源を遮断した。その結果エキサイタとバルブのコイルに溜まった逆起電力のっ消費時間の差が表れている。

 

当初電圧低下が、過渡現象を表しているのかと思ってしまい無駄な時間を取ってしまいました。

良く考えれば、DC駆動のコイルには突入電流は殆どありませんのでバカやってしまいました。

 

信号系のサプリングは、32Hzと128Hzなので精査すれば何かわかるかもしれません。

しかしPSC2(2段推進系コントローラ)がどう判断して電源遮断したのかソフトを開示していただけない物でしょうか?

 

このデータでは、サンプリングが荒すぎて何だか分かりません。

 


FTAは、起こり得る全てを書き込む必要が有るので良く出来ています。
但し、事前に無くてはならない物なのですが・・・。

 

現在、仕様書の中にFTAは必ず含まれますが、新規開発異常では、あまり役立ちません、

あくまでも経験値を具現化しているので新規の場合必ず漏れが含まれます。

ただ、FTA以前に波形を計測していれば防げたと思います。

 

それにしても、組込み自己診断プログラミングが駆動電圧をどのように監視しているか調査して無いのでしょうか? それとも簡単すぎて公表したくない? のかな?

エキサイタとバルブのデータシートなどは定格電流しか記入して有りませんが・・・?。

波形データは貰わなかったのか?

 

大事なことを忘れていました。

ソレノイドなどの定格電流は、定常温度(ある程度安定した時)で決めたものです。

一般的には、インダクタが20度、30℃、又は40℃温度上昇した時を定格電流としていることが多い様です。

しかしコイルは、温度が低い場合は抵抗値が下がり、高い場合は抵抗値が上がります。


コイルの抵抗値は、丁度50度下がると20%低下します。

 

もし定格電流で計算して自己診断プログラムを書いてたいとすると点火プラグやバルブは燃料で冷えていたと思われますので過大電流と判断したかもしれません。

 

もしそうなら? 完全な、組込み自己診断プログラムの検討ミスです。

 

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以上です。

 

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