自動車の電動化(HEV&EV)コア技術 モータ編5.ネオジム磁石 | 電気なんか嫌いだのブログ

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機械技術者の方は、電機は見えなくて好きじゃない方が多いいと思います。私も機械屋でしたので良く解ります。嫌いでも必要なので少しわかるようにしませんか?式や計算は無視して絵や図で感じを掴んで下さい。

5.ネオジム磁石

ネオジウム(Nd)、鉄(Fe)、ホウ素(B)を主成分とし、現有する磁石の中で最も高い磁気特性を持つのがネオジム磁石です。
ネオジム磁石は希土類磁石の代表的磁石で、吸着力が他の磁石に比べて強いのが特徴です。

実用化されている最強の磁石、ですが鉄分が多いい為錆び易い。

 

1ネオジム磁石特徴

     磁束密度が高く、非常に強い磁力を持つ。

     機械的に壊れやすいほか、磁力の温度変化が大きい。(磁力が強いため角が欠け易い)

     加熱すると熱減磁を生じやすい。(温度係数:-0.12%/ 可逆範囲:一般6080

ジスプロシウム(Dy)を添加すると、保磁力が向上する(1%のジスプロシウムの添加で熱減磁が15℃改善するといわれている。HEV用では10%程度使われる。資源小)。

     錆びやすいため表面処理(ニッケルメッキ・塗装等)がしてある。

     キュリー温度(磁化が消滅する温度)は約310度。

     磁気の強さにはN24からN54まで等級付けがされる。Nの後の数字は磁気の強さを表すが、理論上はN64まで可能であるとされている。

 

²  組立時の注意

     表面処理(メッキ&塗料)が剥がれたものは使わない。

     ヨーク等に接着する時は、接着後に歪みが残らないようにする。

     吸引力・反発力が強いので指を挟まない。

     微粉末は発火性があるので火器厳禁、掃除機は使わない。

 

2)ネオジム磁石の問題点

ハイブリッドカーのモータ用磁石では使用中に磁石の温度が200℃程度に上昇するので、熱減磁を避けるために室温で2,380 kA/m30 kOe)程度の保磁力を有する磁石が必要となる。図はNd2Fe14B 永久磁石の用途別エネルギー積、保磁力、合金基本組成を示した図である。現在市場に出荷されているNd-Fe-B 焼結磁石では、保磁力上昇のために重希土類元素Dy (ジスプロシウム)でNd を置換して(Nd,Dy2Fe14B 相として磁石化合物の結晶磁気異方性を高めている。

 

ところが、Dy Fe,Nd と反強磁性的結合をする性質を持っているために、その添加によって化合物の磁化が減少してしまうという重大な欠点がある。

 問題なのはDy 自体の供給不安である。Dy はその埋蔵量が少なく、原産地が中国にほぼ限定されているため(90%) Dy 含有量がNd との自然産出比(Nd に対するDy の自然存在比は10% 程度)を超えたDy 含有磁石をHEVEVに大量に使うと、近い将来Dy の市場価格が高騰し、HEVEVの生産がDy の原料供給に左右されるようになる。

現実に中国は、2010年度から輸出規制を始めた。

※この輸出規制は、代替産地の開発や技術開発によってほぼ失敗に終わった。
最近見つかった、鳥島沖のレアアースの開発が進めば心配が要らなくなる。

詳細は、URLhttps://www.mugendai-web.jp/archives/287 へ

 

 

3)希土類の資源量・偏在

² 希土類鉱石の埋蔵国

2009年の埋蔵量は1.54億万トン(154Mton)で、中国が58%、独立国家共同体(CIS、旧ソ連)14%であり、米国の9%、豪州の4%と続き、この上位四カ国で85%を占めており、偏在していると言える。

 

² 希土類鉱石の組成例

希土類鉱石の種類としては、バストネサイト、モナザイト、ゼノタイム、イオン吸着鉱がある。鉱石の種類や産地によって組成が大きく異なる。
 希土類鉱石を溶媒抽出法により分離精製すると、各鉱石の組成にしたがって15元素が抽出され、ひとつの元素だけを抽出する技術は開発されていない。つまり、特定の希土類元素の需要が急増するとその他の元素が不要在庫となるため、バランス産業と呼ばれている。

 

² 希土類元素の組成比

Nd-Fe-B系磁石のNdは比較的多く存在している方であるが、置換元素のDyTbの存在量は少なく、ゼノタイムや竜南鉱に比較的多く含まれている。したがって、高耐熱のNd-Fe-B系磁石の生産量が急増することは、バランス的には好ましくない。
 Sm-Co系やSm-Fe-N系磁石のSmの存在量も多い方ではなく、モナザイトや尋烏鉱に比較的多い。

 

4 Dyを使わない高保磁力Nd磁石

² 物質・材料研究機構の磁性材料センターは、ハイブリッド車の駆動モータに使われるNd(ネオジム)磁石の高保磁力化に必須の重希土類元素(レアアース)であるDy(ジスプロシウム)を使わずに、原料粉の保磁力を高める方法を開発した。この方法は、水素化・不均化・脱水素・再結合(HDDR)法で製造するNd磁石粉にNd-Cu(銅)合金を拡散させ、粉のなかにある無数の微細結晶の界面組成を制御することによって、Dyなどの資源的に希少な重希土類元素を使わなくても、保磁力を高めることができることを実証した。ただし、HEV等は30kOe程度の保持力が必要為19.6kOeではまだ低い。  (2010.8.31発表)

 

 

5Dyの使用を減らしたNd磁石

² TDKは、「人とくるまのテクノロジー展2013」に、ジスプロシウムの使用量を減らせる「HALHigh Aniso.field Layer:高異方性磁界層)工法」を開発した。ネオジム磁石は、内部にジスプロシウムを拡散することで保磁力が向上するが、その分コスト高となる。比較的低温で熱処理を行うHAL工法は、高温で処理する従来の混合法のように結晶粒子の内部深くまでジスプロシウムが拡散することがない。このため、特性を向上させつつジスプロシウムの使用量を削減できる。「HAL工法を使えば、混合法と比べてジスプロシウムの使用量を2050%削減できる。最近では、保磁力を維持しながらジスプロシウムの元素を選択的に最適配置することもできるようになったので、ジスプロシウムの使用量をさらに数~10%程度削減可能とのこと。

 

保磁力(ほじりょく, Coercivity)は磁化された磁性体を磁化されていない状態に戻す為に必要な反対向きの外部磁場の強さ。保磁力の単位には、CGS単位系ではエルステッド [Oe] SI単位ではアンペア毎メートル [A/m] をもちいる。

1 [A/m] 4π×10-3 [Oe] である。

  

6)ホンダの例(大同特殊鋼共同開発)

² Dyレスで保磁力を高めるため、磁石結晶の粒径が小さいほど、温度上昇で減磁しにくいことを利用し、大同特殊鋼は比較的低い温度に金型を熱し、その金型に磁石粉末を充てんして強く押し出すことで粒径を 5μ~10μm1/10に小さくした熱間成形技術を開発した。ただし保磁力は、Dyを使ったネオジム磁石の半分程度に低下する。その低下分はホンダが埋め込磁石の配置を工夫し、保磁力が多少低くても使える構造を実現した。

 

  

7)トヨタの例

² 省ネオジム耐熱磁石の開発は、希土類(レアアース)の中では比較的豊富で安価なランタン(La)とセリウム(Ce)を使い、保磁力低下の問題を解決した。①磁石を構成する結晶粒を微細化した。溶融させた合金を銅ロールに噴射して急冷することで、粒の直径を従来の5μmから0.25μm1/10以下に微細化し、粒の界面の面積を従来比10倍以上に増やした。これによって高温時の各粒の磁力低下を抑制し、保磁力を高めた。(2010年) ②結晶粒の表面に濃いネオジム層を作った。具体的には結晶を微細化したリボン状の合金を加圧焼成した後、低温で溶融させたネオジムを粒の界面に染み込ませた。これによってネオジムの量を減らしながら、高い磁力を実現した。(2013年) ③結晶粒にランタンとセリウムを13の組成比で配合した。特定の組成比にすることで、ネオジムの代わりにランタンやセリウムを使っても、耐熱性や磁力の低下を抑制できたという。(2017年)

 

 

以上です。